桐青
□夏の終わり方
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机の上の教科書やノートと向き合って時計をチラリと見る。
さっきから20分程しか経っていない。机に向かうと何故こんなにも時間が流れるのは遅いのだろうか。
「散歩行こ…」
まだ明るさの残る道路を当てもなく歩く。秋の風がでてきて少しずつ涼しくなってきだした。
涼しく感じてるはずなのになんだか寒い。オレンジの夕焼けがなんだか居心地悪い。
なんでだろ…?
学校に行ってもなんだかやる気が起きず屋上でサボタージュ。
昼間はまだ陽がじりじり暑い。清々しい青の空を見上げる。なんだかこの空にさえ居心地の悪さを感じて眉根を寄せ、目を閉じた。
まただ、
寒い
そう思って目を開けた瞬間、目前で本山がしゃがみ込んで頬杖を付いて山ノ井を見ていた。
「おはよ」
「…裕史、寒い」
「寒い?風当たり過ぎた?」
「わかんねー。寒くないんだけど寒い、みたいな?」
山ノ井が両手を突き出して広げた。
まるで駄々をこねる子供のように見え、本山は「はいはい」と応えて山ノ井を抱き寄せた。
触れ合う肌は風にさらされた山ノ井には心地良いものだった。
「暖かい…かも…」
「それは良かった」
「…秋がこんなに寒いなんて知らなかった」
「俺がついてりゃ寒くないっしょ?」
ニッと笑って山ノ井の頭を包み込んだ。
遅かれ早かれ夏は終わる。
もう二度とあのメンバーで野球できないだろう。
秋は
人肌が恋しくなる。
感傷的になりやすい。
そんな季節に大切なものを失うってどうなんだろう。
今から夏、だったらこんなにも感傷的にならなくて済んだだろうか。
「裕史は…寒くねぇの?」
「俺は山ちゃんを暖める係だからさ」
「…強いなあ裕史は」
山ちゃん違うよ。
山ちゃんが弱ってなかったら
きっと俺がダメになってる
2009.9.9
なんかすみませんorz