桐青

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右手でライターを左右反対に持ち親指を伸ばす。
カチッという音の直後ボッと炎が点った。
青と橙を揺らしてたばこの先を燃やす。




「すっかり様になっちゃったな」

「あ?んー」

吸った煙をそのままにニカッと笑ってふーと白い煙を吐き出す。






指の間から踊る煙の反対側を口に含み、先端を赤に染めて口から離す。息を吸って肺に送り込み煙ごと息を吐く。

山ノ井がその一連の動作を見つめた。





『モトの火の点け方すき』




口にたばこを挟み、右手でなんかのキャラクターが描いてあるライターで火を点けた時に山ノ井が呟いた。


点け方…?
別に普通だと思うんだけど



どこがどういいと思ったのかわからなかったが、山ノ井にそう言われなんとなくその仕草が本山も気に入った。



「辞めねぇの?身体に悪影響だぞ」

「ん〜…」

「俺が辞めてって言っても…?」

「辞める…かも」


かもってなんだよ〜、と笑いながら言う山ノ井。


だって山ちゃんが火の点け方が好きだと言った。
俺がたばこ吸うところをよく黙って見てくれる。

山ちゃんの意識が俺だけに向けられる、こんないいことがあるんだ。悪いことばかりじゃないだろ?



「じゃあ、今は辞めて」

「今は?」

「ずっと一緒にいる奴のこと考えろよ〜。吸ってる本人より周りの方が良くないんだぞ〜」

「…うん、」

「老い先短くなったらまた吸っていいよ。モトのたばこ吸ってる姿、好きだし」

「…うん…」



それって………
遠回しにプロポーズすか!?



持っていたたばこをぐにぐにと潰して煙が空気に溶けてなくなった。

身体の空気を入れ替えるように深呼吸を一度、大きくした。


ふわり、山ノ井を包み込むと、腰にゆるく回される腕。


「一時禁煙、てことで」


決意を込めた唇を山ノ井のそれに押し当てた。










「たばこくせぇ…!」
「…ごめん」


第2弾お礼SSSでした☆


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