桐青

□カウントダウンは始まった
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不快感に目を覚ます。寝ぼけた頭では今まずなにを一番に考えなければならないのか判らない。

「気持ちわる…」

とりあえず、あまり体を動かさないようにして腕を目一杯伸ばしてティッシュを乱暴に数枚取った。
ボクサーパンツのゴム部分を摘み上げて入り口を作りティッシュを滑り込ませ、まだ生温い精液を拭き取りながらついさっきの夢をまた反芻させる。

なんで山ちゃんとキスしてんの俺…。


「…てか、ガキじゃねえっての」

拭き取ったティッシュをうまく丸めてゴミ箱へ投げる。
ナイスファースト!


てか山ちゃんはあんな苦しそうな顔するんかな…あんな女みたいな声出すんかな…。

唇…柔らかかった、な。
実際は触れてもないのにまだ思い出せる熱と感覚を確かめるように唇に触れた。

パンツ替えねえと…





学校では嫌でも山ちゃんと顔を合わせる。一番身近な存在だから厄介だ。
昨夜のことを意識しない方がおかしいってもんだ。
あの表情が実際はどんな風に歪むのか、唇はどんな感触なのか、どんな声を出すんだろうか。どんな、どんな…


「どした〜?」


壁側にある俺の席の前の席に腰を下ろして、今まさに頭の中にいた山ノ井がたいして心配した様子もなく、でも俺の変化に気付いて声をかけてきた。


「いや、別に?」
「……ふーん。俺に嘘つくんだ」
「いやその、うん。ちょっと寝付きが悪くて…さ」
「……そ。最近さー、モトが夢に出てくんだよね」
「は!?」

どんな夢!?まさかちゅうとかそんなんじゃないっすよね!ああまじで。

「なに」
「…どんな夢かなって」
「普通に…」

…ほ。

「ちゅうしてた、みたいな」

……、
ええ〜ちょっと!
ちょ、え?普通にちゅうしてた、とか…ないない。
なにこれどうリアクションとったらいいんだ?
俺も見た!とか?ないない。

「モト、顔赤いぞ」
「あっはは…」
「想像した?」


いや想像もなにも俺の中ではもうやっちゃってますからそれ。
山ちゃんの笑顔が痛い…。


「嘘だけど」
「………ですよね!ビックリした〜」
「ま、イヤじゃないけどね〜」
「え?」


山ちゃんが妖しく笑った。どう出る?ってこっちを窺うように。


「…じゃあ…試してみる?」



喧騒が消えて2人だけの空間。
さあ、この世界を壊すのはどっち?




2009.10.14


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