桐青

□ロザリオに寄す
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利央を探して礼拝堂にまっすぐ向かった。毎年この日の放課後、利央はこの場所に来る。今年で4度目になるか。
中に入り後ろから3列目の長椅子に座り、暖色に包まれながら祈りを捧げる背中を見つめて思う。

キレイだと。

余所の血の交じった日本人離れした外見だけじゃない、心から透き通るようなまっすぐさや純粋さが滲み出てるような。


「準さん!来てくれたの」

いつの間にか目の前に来ていた利央に声をかけられ現実に引き戻される。

「終わったか?」
「うん!帰ろっ」

去年と同じ言葉に、今年は利央の差し出した手が加わる。
それには触れずに利央の襟に引っ掛かったロザリオのチェーンを直して「行くぞ」と先に礼拝堂を出た。


利央の部屋に着くと、予想通りの余裕のない顔。抱き締めながらキスを押し付けてくる利央に優越感を覚える。
そうこねーと。

「んだよ。怒ってんのか」
さっきの。
「別に。わかってるもん」
あそこじゃ触れてくれないこと。


利央のロザリオを外す。
それを一度利央の唇に押し付けてからカッターシャツのポケットに落とす。
それからやっと。利央を愛することができる。
いつの間にか抜かれた身長。自分より高い位置にある肩に腕を絡ませた。

「利央…なにが欲しい?」
「準さん」
「バカか」
「本当だよ」

まだお前に俺はやんねーよ。
たとえ俺の全部がお前だとしても。
お前は俺が全部じゃない。全ての先には神、だろ。


「ガキの頃と同じこと言ってんな」
「お互い様っしょ」
「バーカ」


まだ俺ら、神の下で
徒に繰り返す
愛を確かめることを。


「…準さん」
「…おめでと」
「だいすき」

礼拝堂で利央が神に祈るように
利央の背中に祈る。
利央が生まれたこの日に
ハレルヤ!


11.7 Happy Birthday Riou☆


2009.11.7

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