桐青

□それでもきっと。
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え、ごめんごめん!
そんなまじな顔すんなって。
悪かったってば。山ちゃ〜ん!



「モトのヴァカ!」


思い切り嫌味たっぷりに言ってやった。
だって
良かったじゃん、なんて言えるわけがないじゃないか。

「モトのくせに。つか黙ってたとか信じらんない」
「悪かったって。そんな怒んなよ。ちゃんと1番に山ちゃんに教えたんだよ」

大事なことだから、1番に伝えたかったんだ


今までは、素直に嬉しいと思ってたその善意が。今となっては苦しいものに他ならない。
俺の思ってる1番と、モトの思ってる1番は、違う。
知ってた、けど。

もう今までのように自分は優先してもらえないのだ。
モトの1番では、なくなる。

渇く喉と、震える身体。


「ホラ、心の友…!親友…?盟友だ盟友!だろ?」

不意に首に絡んできた腕に、震える身体を無理矢理静止させる。
そうやって無作為に触れてくるな。
ひょっとしたら…なんて馬鹿げた期待が棄てきれない。

「へいへい」


盟友…ね。
意味わかってんのかよ。
お前が言う言葉?

ま、いいけどね、それでも。
いつか終わる恋より、ずっと続く仲間でいい。
俺が崩れなければ、ずっと。

そんな自分に自嘲した。


2010.2.13


本山に彼女ができたお話。
SSSに入らなかった…


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