らーぜ☆

□3
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ずっとそばにいるよ


そう言ったら君は
困ったように笑うんだ




狭いシングルのベッドに高校球児が2人体を寄せ合って眠っている、という所以外なんら問題ない普通の部屋。


少し下にある短い髪の毛が唇をくすぐってその存在を知らしめる。
ついさっきまでこれでもかって程弓なりに反らせ、俺を受け入れてくれていた腰に手を回して緩く撫でた。
ん…と短く唸り背中に回されていた腕が僅かに強くなる。


「腰、大丈夫…?」

「……ん…いまんとこ」


弱々しい声が聞こえ、短い髪に隠れたおでこにキスを落とす。


「ずっと好きだよ、ぜったい」


腰を撫でる手はそのままに。


「もう離れらんない」


彼から返事はない。




キライだよね、こういうの。ずっとだとか…ぜったいだとか…。
知ってる。

けどオレは言い続けるよ。
なんかよくわかんないけど自信あるもん。


ねえ栄口、
失うことばっかり恐れないで?
幸せになることコワがんないで?

オレのこと、信じて…?



ふいに背中に回されていた腕がすり抜け、暖かかった所が空気に触れひんやりして意識がそこに向いた時。


「俺も…」

「…え?」


また困ったように笑って言う。


「離れらんない」

「さかえ…

「信じたげる、水谷のこと」


今度はいつもの優しい顔で笑った。

強い芯を持った瞳にドキリとしながらも、込み上げてくる想いをとめることはしなかった。


腕を立てて起き上がりキスしようと相手を捕えると、思ったよりも早く唇が重なった。
気付けば彼の方から項に手を絡ませていたのだ。
栄口からの、キス。




ねえ水谷、
お前だけだよ?

俺の心にズカズカ入り込んで
芯を揺さぶって

それに縋りたいなんて思わせたのは。





第3弾お礼SSSでした☆


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