忍足受

□君のkissで…
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「なあ、侑士ー…」


放課後、俺と岳人は屋上にいた。

今日は部活がない。

岳人は一人携帯を弄っている。(メールだろう)

だから俺も鞄から本を取り出そうとした。

するとその時、岳人がフッと振り向き話しかけてきた。


「何や、岳人」

「ぶっちゃけさ。俺と慈郎、どっちが大事?」

「…岳人?何でそないこと…」

「答えろよ」

「…難しい質問やなぁ…」


だってそうだ。

慈郎に限ったことじゃない。

岳人も宍戸も日吉も、鳳も跡部も樺地も皆大事だ。


考え込んでいると岳人は不機嫌そうに口を開いた。


「……じゃあ侑士は俺じゃなくても付き合ってたのかよ」


拗ねたように言う相方に苦笑する。

岳人以外と付き合うのはありえない。


「さあ、どうやろな」


そう答えてみると、岳人はますます拗ねたのか俺に背を向けた。


「なら慈郎と付き合えばいいじゃんか…アホ侑士」


岳人はボソッと呟いた。

俺はフッと微笑み、いまだ拗ねている相方の頭を撫でてやった。

するとパッと振り向いた。


「何すんだ…よ…?」


その振り向いた顔に一瞬唇を重ねてやると、岳人は顔を真っ赤にして金魚のようにパクパクと口を動かした。

きっと、俺の顔も岳人に負けず劣らず真っ赤だろう。


「…意地悪言ってすまんな。俺が好きなのは、岳人だけやから…」

「……な…!ゆ、侑士…」

「……あー…改めて言うんのって、こない恥ずかしいんやな…」


右手で頭を掻きながら、照れくさくなりジッと見つめてくる岳人から目を逸らした。

しかしまだ視線を感じる。


「が、岳人…?そない、見んといて…」


顔がますます赤くなるのが自分でも感じ、俯いた。


「侑士…お前、可愛すぎ…」

「…岳人に言われたないわ」

「いいや…マジで可愛い」


岳人をチラ、と見てみると、岳人もいまだに顔を赤く染めてる。

傍から見れば唯のバカップルだ。

いや…そうなのかもしれないけど。


「侑士…ゴメンな。変なこと聞いて」

「いや、俺かて意地悪言うてもうたし…」

「…好きだぜ、侑士」

「……ああ、俺もや岳人」


今度は岳人から。

ゆっくりと口付けを交わした――。



完。
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