忍足受
□題名未定
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「…なあ、ジロー。お前、アイツらのことどう思う?」
俺はアイツら――つまり跡部と侑士――を見ながら、ジローに話しかけた。
「跡部と忍足?何で?」
ジローは珍しく覚醒してるぽかった。
「アイツら…付き合ってる癖に付き合ってねえっつーか…想いあってるようには見えない」
そう、可笑しいのだ、この二人の恋愛は。
いや、男同士の時点で色々と世間と外れてるんだけどな……。
まあそれは置いといて……
この跡部と侑士という奴は、付き合っている。
…なのに。
二人とも女遊びが絶えないのだ。
前にだって、跡部が女とホテルから出てきたところを見たことがあるし(中学生としてどうなんだとは思うけど)、
侑士が女と歩いているところなんか何度も見る。
この二人が何故1年も付き合っているのか、俺には全然理解ができない。
「想いあってるように見えない?あいつらが?冗談でしょ?」
ジローの予想外の言葉に言葉を失う。
「お前にはそう見えんのか?」
「うん、まあね」
「何でだよ?お互い想ってたら浮気なんかしないだろ?」
「でも想いあってなかったらとっくに別れてるでしょ?
アイツらの気持ち何となく分かる。
怖いんだよ、お互いがいなくなるのが」
「ハァ…?いまいちよく分かんねえ」
「だから、あの二人は大人ぶってるけど実は一番子供だってこと」
「…さっきから何言いてえんだよ?」
「ふぁああ。眠みー…。俺もう寝るね。おやすみ……」
「お、おいジロー!…チッ、この寝ぼ助め!」
俺はすっかり寝息をたてているジローを見ながら、ため息を吐く。
侑士の奴、最近無理をしているように見える。
俺や皆の前では普通にしているが、たまに切なげな表情を見せているのを侑士は気づいてるんだろうか。
……侑士、やっぱり何だかんだ言って跡部のことが好きなんだ。
そう思うと胸が締め付けられた。