忍足受
□跡部はぴば
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「跡部様、お誕生日おめでとうございます!」
「これ受け取ってください!」
跡部の登場に、いつもの倍以上の声が上がる。
成績優秀でスポーツ万能、容姿端麗。
それでいて、生徒会長であり200人をまとめるテニス部部長である跡部景吾がモテないはずがなかった。
イベントなどではかなりの賑わいになる。
去年のバレンタインでは、あまりの騒ぎに授業は中断された程だ。
そして今日は、そんな彼の誕生日なのだ。
騒がれないはずがなかった。
「てめえら」
騒ぎの元である跡部が、付きまとう彼女たちをギロ、と睨むと、一瞬で空気が静まり返った。
「邪魔だ、散れ」
跡部の周りにいた跡部ファンは、一瞬動揺した後、すぐに焦ったように跡部から離れた。
跡部がその場を去ると、跡部ファンはざわざわと騒ぎ始めた。
「…怒らせちゃったのかな?」
「でも毎年やってるよね?」
「あ…!もしかして…本命が、いるとか?」
その言葉で今までのざわめきが一層に大きくなる。
悲鳴にも似た声までもが飛び交うようになっていた。