その他CP

□タイトル未定
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嘘だろ……。

この、俺が?

ありえない……。



「どうした?日吉」



目の前で小首を傾げる男が愛しいと思ってしまうなんて……!




「日吉ー?具合でも悪いのか?」

「…!何でもない。それより、宍戸さんがお前のこと探していたぞ」



動揺で思わず嘘をもらしてしまう。

本当は宍戸さんは鳳を呼んでなんかはいない。

しかし鳳は信じたらしく、まぶしい程の笑顔を見せた。



「え!ほんとに?サンキュー!行ってくるな!」



やめろ……

そんな笑顔で俺を見るな……

冷静さ(理性)が失われていくだろ!!


そう、走っていく鳳の背中を見ながら心の中で叫んだ。


それと共に、苛立ちも覚えた。

宍戸さんに呼ばれていると聞いただけでそのテンションの上がりようはなんだ。

あいつのすべてを独占したい。

何なんだ…?この気持ちは……。



「それはな、日吉」

「!?」



耳元に急にきた、ゾワ、とする吐息たっぷりな低い声色にビクリと反応してしまう。



「おし、たりさん……脅かさないでください…!」

「あぁ、すまんなぁ」



忍足さんはニヤ、と口先を上げた。

何なんだこの人は……と思いつつも、相手の言葉を待つ。



「日吉、お前のそれは『恋』や」



・・・・・・・・・。

恋、だと?

馬鹿馬鹿しい、そう言おうとしたが感情が制御する。



「鳳を独占したい、俺のものだけにしたい、て思わんかったか?」

「…っ!……でも、あいつは……」

「男や、言うんやろ?あんな、日吉。恋愛に男も女もないねんで?」

「俺は……っ」



もしこの人の言う通り俺が鳳に恋をしているのだとしたら。

……いや、駄目だ駄目だ。

あんな馬鹿デカい男に恋をしていると?

そんなの……



「おぉ、鳳やん」

「あ、忍足さん。こんにちは」

「ほな、俺はこれで失礼するで」



な…っ!!

この人、絶対わざとだ……。

……というか何意識してるんだ俺は……。

普通に……普通に……。



「日吉ー、宍戸さん呼んでないって。……ん?どうしたの?」

「バッ……離れろお前は!!」



かなりの近距離に顔を近づけてきた鳳を突き飛ばしてしまった。

鳳は予想外だったためか、倒れる直前に俺の腕を掴んだ。

俺はそのまま鳳の上に倒れこんだ。

そして、本能的に鳳の両手首を押さえつけていた。



「…日吉…?」

「あ…わ、悪い…」



正気に戻る。

何をやっているんだ……俺は。



「最近の日吉、変だよ。日吉が俺のこと嫌いなのは分かるけどさ……けど……」

「そんなこと……」



嫌い?

いや、寧ろ……。

もしや俺、本当にこいつのことを……。



――ガチャ



「おい、お前ら何時まで遊んでやが……って何やってんだお前ら」

「「あ、跡部部長!」」



そして今になって気がついた。

この状況を……。

顔に熱が集まる。

俺は慌てて鳳の上から立ち、鳳から顔を逸らした。

まともに見れそうもない……。



「お前ら……グラウンド60周だ!!」

「は、はぁい、行ってきます!」



跡部部長の怒りに震えた声に、鳳はそのまま慌てたように部室を去っていった。

その顔に赤みが掛かっていたのは気のせいか……。



「日吉、お前もさっさと行け!」

「…はい」



もしも気のせいでなければ、少しくらい期待してもいいかもしれない。
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