長編2

□9(完)
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先に飛び出したのは、月詠だった。



月詠が、化け猫の足元へ飛びかかる。

それに向けて振り下ろされた化け猫の腕を、ひらりと避けると、そのまま足の隙間から後ろへ回る。

思わずバランスを崩した所へ、ホウイチが飛びかかる。

下ろした腕に思い切り噛みつかれ、思わず化け猫がホウイチを掴もうと、空いた手を伸ばす。

その手に向かって、今度は月詠が飛びかかった。

「ニャウ!!」

飛びかかった月詠を、化け猫の振り向きざまのパンチが襲った。

地面に月詠が叩きつけられ、そのままホウイチの体も化け猫の腕によって掴まれる。

「クソ!化けモンが!!」

化け猫が、掴んだホウイチの体を地面に叩きつけようとした時。




「オイ、俺の事、忘れてんぞ、テメェ。」




隙をみてひのやの中に入り、二階の窓からジャンプした銀時が、化け猫の肩に飛び乗った。



「合コンの時間ですよ、コノヤロー」



グォォォォ!!



物凄い怒声をあげて、化け猫が暴れる。

それに負けじと必死で銀時は化け猫にしがみつくと、抱えたままの茶色の猫に向かって言った。



「何かしらねぇが、告白タイムだぞ、コルァ!!!」



茶色の猫はうなづくと、化け猫の耳元へジャンプした。

『目を、覚まして』

また、声が響く。

『私は帰って来たから。約束したでしょう。一緒に行こうって。二人の世界へ行こうって。』

グァァァァア!!

暴れる化け猫に、必死で茶色の猫はしがみついた。

『お願い、もう、離れたくない』





『・・・・!!』




最後の声は、聞こえなかった。

ただ、その声が化け猫の耳に届いた時。





化け猫の瞳から、一筋の涙が、こぼれた。




「うわっっ!!何これ!!」

辺り一面が、強い光に包まれた。
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