銀月(後)2
□Lover's Soul
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「銀時の体、傷だらけじゃな。」
体の傷、一つ一つを指でなぞりながら月詠は言った。
--先程までの情事の余韻が残る中。
体を起して、寝転ぶ銀時の上に覆いかぶさるようにして、月詠は銀時の体の傷を眺め出した。
「そんな事してると、風邪ひくぞ。」
まだ汗の残る体。
寒いだろうが、と銀時は月詠の裸の体に毛布をかける。
「これではぬしの体が良く見えぬ。」
「何ですか、視姦プレイっすか。いや、俺そういうの趣味じゃないんですけど。」
するのは好きだけどね、と言う銀時を、月詠が黙りなんし、とにらむ。
「・・・どうしたんだ?」
「何がじゃ。」
「人の体、じろじろ見るから。」
「別に・・言った通りじゃ。傷だらけじゃと思っただけじゃ。」
「そりゃ、お前もだろ。」
言うと、銀時は月詠の肌を撫でる。
白く滑らかな肌に、時折引っかかりがある。
長い戦いの中で作った傷を、情事、銀時はひとつひとつ優しく舐めていく。
それが傷を癒してくれるようで、月詠は好きだった。
「だから・・のう。」
体を伏せると、月詠は銀時の腹の大きな傷に口づけた。
その隣の小さな傷。
胸元の小さな傷。
肩口には切られたのであろうか、長い傷。
それらは古いものもあれば、新しいものもある。
それは、月詠の知らない、銀時の歴史。
その中に、ひと際大きく、新しい傷がある。
ついこの前の、抗争の時に出来た傷らしい。
自分が全てを知ったのは、全てが終わった後の事。
「そうか、大変じゃったな。」
「ああ」
それで、終わった。
銀時は、また護った。
大事なものを。