銀月(後)2
□夏の夜は幻 オマケ
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ベンチに座った二人は、そのまましばらくキスを繰り返していた。
はぁ、と月詠が唇を離す。名残り惜しげに銀時の舌がそれを追った。
「・・もう、いい加減にせんと、花火が終わる。」
空に浮かぶ花火は一層激しく、イベントの終わりが近づいている事を物語っていた。
「そう・・なんだけど。」
唇を離しても尚、月詠の体を離そうとしない銀時に、月詠は呆れていいのやら喜んでいいのやら、と悩んでしまう。
「いい加減、分かったろうに。まだ土方殿の事を気にしてるのか?」
「だけどさ。あのヤロー。女にだけはモテルからなぁ。」
銀時の言葉に、月詠は少し首をかしげる。
「以前から思っておったが・・土方殿はそんなにモテるのか?」
「そりゃ、顔だけは良いからな。」
「そんなに・・良いのか?」
「まぁ、世間一般的には。オメーはそう思わねぇのか?」
「そう・・じゃなぁ。」
「珍しー奴。」
「・・・だって、じゃな。」
「?」
「・・・カオナシ、に似ておらぬか?」
「カオナシって・・?」
「ほら、『万と万尋の』云々に出てた。」
「なんでジ○リ?いや、それはおいといて・・・」
「いや、晴太が好きでの。一緒に何となく見てて、中々面白かった。」
コイツがジブ○なんて、なんつーか意外過ぎる・・・
いや、ジブ○ファンである事はこの際どうでも良い。それより土方から何故カオナシが出てくる?
一つの可能性が、頭に浮かんだ。
まさかそんな事は・・・いや、念のため一応、聞いてみよう。
銀時は、自分の周りで一般的に男前だと言われそうな奴を思い出した。
「ちなみに聞いてみるけどさ。沖田の野郎は何に似てる?」
「ぼののけ姫のコダマ、じゃな。」
「ヅラは・・・?」
「ラピタに出てきたロボットかのう・・。」
月詠の瞳に嘘やからかいの色は無い。あくまで真面目に答えているようにしか見えなかった。
「・・・」
銀時は、以前聞いた日輪の言葉を思い出した。
『月詠の事なら、浮気なんて絶対心配ないわよ』と彼女は笑っていた。
その絶対の自信。それは月詠の生真面目さから来ていると銀時は思っていたのだが。
もしやコイツ・・美的感覚が・・・ちょっと・・いや、かなり変わってる・・・??
※
ゴクリ、と唾を飲み込む。
「オイ。一応聞いて良いか?」
「何じゃ?」
「俺は・・何に似てる?」
「銀時か?」
すると月詠は銀時の髪を撫でた。くしゃ、と髪を触り、やけに嬉しそうな顔をする。
「勿論、トト・・・」
「待ーーーーて。待て待て待て待て待て。」
「???」
「もう、言わなくて良い。」
銀時は慌てて月詠の口を押さえる。
目をぱちくりさせる月詠を見て、思わずため息がこぼれた。
「知らぬが仏、っつー奴だ。」
終
◎いや・・でもト○ロとHはしたくねぇよなぁ・・という事で次ページにTAKE2 入ります。