銀月(後)2

□私を抱いてそしてキスして
1ページ/2ページ

月詠を呼び出した時は、そう言う気だった訳ではない。

色々あったし、しばらく逢ってないし、何かアイツの顔が見たい、その程度の気持ちだった。



だが、日の沈みかけた薄暗い町でアイツの姿を見た時、自分の中で何かが弾けた。

この前から俺の中でくすぶっている、「何か」が月詠を見て暴れだした。





会うなり何も言わず、月詠の腕を掴む。

「銀時?」

戸惑う月詠に何も答えず、その腕を引いてそのまま裏通りに連れ込んだ。

俺の様子がおかしい事に気づいたのだろう。いつもならば怒る所だが、月詠は大人しくついて来た。



人気の無い建物の裏手まで引っ張ってくると、その体をビルの壁に押し付ける。

ぎゅ、と体を密着させると、その着物の裾に手を滑り込ませた。



「・・ちょ、銀、時。」

当然ながら、抵抗が来る。

胸を押して来る強い力を、体重をかけて抑え込む。着物を引っ張る腕を取り、手首を掴んで壁に押し付ける。

目を逸らすと、形の良い耳を、ぱくりと食べるように、口の中に入れ、嘗め回した。

だから、月詠の顔は見えない。俺の顔も、アイツには見えていない。



「どうした・・のじゃ。」

押し付けられているせいか、苦しそうな声で月詠が訴える。



今の俺の顔なんて、見るんじゃねぇ。

じたばたする脚の間に体を滑り込ませると、一気に下着をずり下ろした。



「銀時・・!こんな所で、ちょ。」

有無を言わさず指を押し入れると、う、と息の呑むのが分かる。

中は全く濡れてなどいない。そんな中にいきなり突っ込んだのだから、さすがに痛いのだろう。

それでもぐいぐい、と押し入れると段々指の先にぬめりとした液体がついて来た。



いつもならそのまま十分に湿るまで指で愛撫する所なのだろうが、今日はそんな事は無理だった。

下着の横が紐になっているのを良い事に、そのまま結び目を解く。

ずり下ろされた下着がそのまま足首まで下りていくのを見ながら、俺は自分のズボンに手をかけた。



さっきまで何とも無かったそれは、既に獣のように猛っている。

月詠の片足を掴んで抱えると、それを、まだ湿りきっていない中に押し入れた。



「・・・はぁっ。」

月詠が大きく息を吐く。

奥はまだ乾いていて狭くて、中に押し入れるだけでもキツい。

押し入れる方がこれなのだから、受け入れる方はさらにキツいだろう。



腰を動かし、ぐ、と更に中に押し入っていく。

構わず腰を激しく動かし始めると、

う、といううめき声が聞こえて、背中をぐ、と掴まれた。



ずんずん、と突き上げるように中を犯す。

月詠は、俺の着物をぐっと掴み、小さな声を喉の奥に押し込めながら、それに身を任せていた。

先程からずっと嘗め回していた耳に歯を立てる。

このままこの耳食いちぎっまいたい、という衝動だけは必死で抑え、それでも欲望のままにその耳を犯した。



何で、抵抗しない。

いつもだったら、ちょっとちょっかい出すだけでブン殴ってくるお前が、何で何も言わない。

俺は何にも言わず、こんな酷ぇ事しているのに。

お前がキツいの分かってて、勝手な事してるのに。

硬い壁に押し付けられて背中痛ぇだろうな、とか。

こんなキツイ格好のまんまだと辛いだろうな、とか。分かってるのに。



悪ぃ、って言いたいのに。

そう言いたいのに、どうしても声が出ない。

こいつがキツイの分かってるから止めたいのに、自分を止める事が出来ない。

それどころか、どんどん動きは激しくなってくる。

月詠を壊しちまうんじゃないか、って言うくらい。





俺の心と体が、どんどん離れて行く。









わけも分からず、天人を斬っていた時。

もう止めて良いんじゃないか、って思うのに、斬るのを止めることが出来なくて。

散々天人斬ってんのに、段々斬ってる感覚なくなって。

そのうち色んな感覚なくなって。

人を斬った痛みも、自分が斬られた痛みも、感じなくなって。

自分はただの人形で、誰かが俺を操って敵を斬ってるんじゃないか、って思うくらい、自分の心と体が乖離していた、あの時のように。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ