銀月(後)2
□ハロウィンなんて大嫌い
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坂田銀時はその日ご機嫌だった。
先週のハロウィンとやらでは、月詠の黒猫ちゃん姿を眺める事が出来た。
その上、日輪のはからいでその後は素晴らしい夜を(銀時にとって)過ごすことが出来た。
仕事の邪魔をされた上に、その後は色々な目に合わされた月詠が色々愚痴っていたが、そんな事も笑顔でかわせるくらいであった。
そして一週間後。
再び茶屋「ひのわ」にて美味い団子をほおばりながら、やはり銀時は先週の楽しいお祭りの記憶に上機嫌であった。
うんうん、やっぱりワンピースは脱がしやすくていいねぇ。着物の脱がしにくさもそれはそれでオツなのだが、うんうん、ミニのワンピは偉大だよ、やっぱり。
そんなエロ全開な事を考えていると、月詠がやって来た。
「あれ?今日は黒猫じゃねぇの?」
「ふざけるな。あのような格好、二度と御免じゃ。」
「いや、あれはハロウィン恒例にしないと。あ、クリスマスはミニスカサンタとか、どう?」
「・・・」
クナイを構えつつ、月詠が臨戦態勢に入ったので、一応銀時は口を閉じる事にした。
「ま、でも黒猫ちゃんも似合ってたぞ。マジで」
「・・・ば、馬鹿言うな。」
思わず顔を赤くして、月詠はそっぽを向いた。その顔を見てニヤニヤする銀時を見て、慌てて言った。
「あ、でも、その日は吉原に客が多かったのは事実じゃな。日頃見ない客層が多かったし。」
「へー」
「皆カメラを構えてのう、わっちの事を写真に撮るのじゃ。何が良いのか分からぬが・・新聞の取材でもあったのかのう?」
「・・それ、どんな奴等?」
「皆リュック背負って、鉢巻みたいなのを巻いておったぞ。」
・・・それはオタクのカメラ小僧だろうが。
突っ込もうとして、銀時は止めた。
どうせ言っても月詠には分からないだろう。
しかし、当日それを聞いていれば、怪しげな奴等片っ端から捕まえてフィルム没収できたのに・・・
いくらスパッツ履いていたとは言え、月詠のミニスカ姿・・何処の誰とも分からない奴が写真に撮るとは許せない。
銀時が密かに怒りに燃えていると、月詠が少し不思議そうに言った。
「だが・・その中にな、見知った御仁と似た人物がおってのう。」
「誰?」
「それが・・」
言いにくそうに、月詠は少し口ごもった。
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「ぎ・・・銀時!?」
「やろぉぉぉぉぉぉ!!マジ殺す!!」
月詠から話を聞いた銀時は、カールルイス並の猛ダッシュで吉原を駆けて行った。