銀月(後)2
□ハロウィンって何のイベント?ぶっちゃけ俺しらねぇ。
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「その日はダメじゃ。吉原ハロウィンイベントとやらで忙しい。大事な用もある。昼も夜もダメじゃ。」
電話口から、愛しい恋人の冷たいお言葉が流れた。
「今度埋め合わせする。とにかく31日はダメじゃ。」
一応のフォローはしたつもりなのか。
そう言うと月詠は電話を切った。
「せっかくのチャンスだってーのにさ・・・」
受話器を置きながら、銀時は愚痴った。
10月31日。
世間で言う所のハロウィンデー。
勿論銀時はそのようなイベントに微塵も興味は無いのだが、万事屋のチビ共は「かぶき町ハロウィンパーティ」とやらに参加するらしい。
しかもチビ達皆でお泊りつきらしく、神楽など今から楽しそうにお泊り準備をしている。
おかげでその日は夕方から翌日朝まで、銀時は完全フリー。
おまけに先日、結構報酬の良い仕事が入ったので、お財布までいつもよりは温かくなっていた。
ここは一つ、月詠とのんびりデートでも楽しもうかと思えば・・・。
いつも以上につれない返事。
無愛想なのはいつもの事だが・・・。
「そんなに忙しい事あったか?」
余程の事件でも無い限り、最近の月詠は多少のシフト修正は可能だ。(部下たちが気をきかせてくれているらしい)
昼はダメでも夜はOK、夜はダメでも午前中にはOK、など、いつも少しずつ時間を融通してくれている。
バレンタインやクリスマスならともかく、ハロウィンという行事はそんなに盛り上がるものなのだろうか。
ついこの間まで世間でのラブイベントと縁の無かった銀時としては、イマイチ理解が出来ない。
しかし、ここまで「完全NG」と言われると逆に気になるのが人間の心理。
それに・・
銀時の第六感が告げていた。
月詠は「会えない」のでは無い。
何か「会いたくない」理由があるのでは無いか、と。
「・・・こっそり覗きに言ってみますか。」
銀時は、さてどうしたらバレずに吉原にもぐり込めるか、早速思案した。