長編2
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どこかで火事が起こっている。
思わず銀時は空を見上げた。
蜘蛛の糸は・・・見えない。
その事には安堵したが、別の事に気がついた。
あちらは・・・月詠の家の方角。
家の近くまで来ると、まさに燃えているのは月詠の家であった。
「月詠!」
叫んだが、その声は火消しを行う男達の怒号・女達の悲鳴に掻き消される。
とにかく安否を確認しないと。
「オイ、月詠は何処いった?」
近くにいた男を捕まえて聞く。
「知らねぇよ。何処にもいねぇんだ。まだ中かもしれん。」
・・・クソ。
これがたまの言った”何らかの危険”なのか?
炎は一階を包み込んでいて、中の様子は伺えないし、二階の窓を見上げても人の気配はない。
「・・銀さん。」
後ろから声がした。
「茜。お前、無事だったのか。」
半泣きの状態の茜が立っていた。
「良かった。月詠は・・?」
「どうしよう、あたしのせいだよ。」
「茜・・?」
「あいつが・・母さんの処に連れて行ってくれるって言うから・・だから、あたし・・・。そしたらあいつが・・」
「どういう事だ?説明しろ。」