銀月(後)2
□人生にマニュアルなんてない。
1ページ/4ページ
『吉原恋愛テクニック その4
時には冷たく、時には甘えるように、色々な表情を見せましょう。
ギャップを見せる事により、相手を更に魅了できます。』
「・・・・」
暇つぶしにこんな本を読むのではなかった。
月詠は本を閉じた。
**********
正月。
年賀状が一枚、届いた。
「結婚しました。」
そこにある写真の男。
あらあら、と日輪は笑い、えー!と晴太は驚いていた。
そして、自分は・・・・。
そうか。祝いの言葉を送らねばな、と言った。
怖くて自分から連絡など出来なかった。
向こうからも連絡など来なかった。
とりあえず、返信も兼ねて年賀状を出した。
日輪と晴太が余計な事を書いていたので、修正しておいた。
あれからしばらく経つが、あいつからは何も連絡は来ない。
こんなものか、終わりなんて・・・。
分かっている。
吉原の女など、そんな運命。
月詠は、今日何度目かのため息をついた。