その他
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しばらくすると、誰かが戻ってくる気配がした。
お登勢の店から出ると、新八が階段を上がっていた。
「あれ?どうしたの?神楽ちゃん。」
「お前に手紙アル。」
手紙を差し出すと、新八は少し顔を赤くして「困ったなぁ」と呟いた。
「お前、どうするアルか?」
「何を?」
「何ってこの手紙アル。」
「うん・・・御断りの手紙書かないといけないね。」
手紙を手に、新八はいともアッサリと言った。
どういう事だ?と私は混乱する。
私の知ってる新八なら、ラブレターなんて貰ったら舞い上がって顔をヘラヘラさせて、街中をスキップしながら駆け回りそうなのに。
すまなそうな顔をしながら、いかにもこういうの慣れてますよ〜な顔をしている新八に、私は心底怒りを覚えた。
「お前、若い女子の誘いを断るなんて、そんな大層な御身分じゃないアル!」
「そ、そんな事言ったって、良く知らない子だし・・・」
「お前、最近モテルからって勘違いしてないアルか?良いか?それは単に銀ちゃんの気の抜けた顔の隣にいるからであって、お前が良いわけじゃ・・・」
そう言って、私は新八のメガネを奪い取った。
メガネの無い新八なんて、味つけしてない昆布みたいなものだ。
味気ない、スカスカの、ただの乾いた海藻だ。
そう言って、笑ってやるつもりだった。