銀月(後)2
□夏の夜は幻
3ページ/7ページ
「なんつってな。見つからなきゃ良いんだよ。」
通りから外れ、少し奥まったところへ来ると土方は懐から煙草を取り出した。
「・・・良いのか?」
「んじゃ我慢するか?」
差し出されたライターを前に、月詠はまぁいいか、と煙管を差し出す。
二人でふぅ、と煙を吸い、吐く。
しばらく二人で世間話などしながら一服を楽しんでいると
「・・何で、お前が此処にいる。」
「銀時?」
祭りの明かりを背に、銀時がカキ氷を手に立っていた。思ったより早く、順番が回って来たらしい。自分の事を探したのであろうか、声が不機嫌だ。
「すまぬ。ぬしが戻ってくるまでに吸い終わるつもりじゃったのだが・・・」
言い終わる前に、腕がぐい、と引かれた。
「んな事どーでも良いが、何でテメェが一緒なんだよ。」
銀時の視線は、どうやら土方へ向っているらしい。銀時のにらみを正面から受け、土方が鼻で笑った。
わざとゆっくり、煙草を携帯灰皿でもみ消すと土方はこちらへ歩いてきた。
そしてすれ違いざまに月詠の肩をぽん、と叩き「あんたも苦労すんねぇ」と笑う。
「あ・・いや、別に・・」
「さっさと仕事しろ、税金泥棒が。」
「そうかいそうかい、じゃあな。」
振り向く事なく手だけ振り、土方が通りへ向う。
「そんなに心配なら、首に縄でもつけてろってんだ。ま、それで愛想つかされても俺は知らねぇがな。」
消えろ、ニコ中。
銀時の声に、土方がクックと笑うのが、聞こえた。