銀月(後)2

□MY SWEET SWEET CAT
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「・・・オメ、つくづく猫と縁があるんだね。前世猫だったんじゃね?」

「・・・にゃん。」


面倒くさい状況らしいが、例の化け猫が関わっていないと分かると、状況を楽しむ余裕も出て来る。

ニヤリと笑うと、銀時はソファに座る月詠の隣にどすん、と座り込んだ。


「やっぱ猫耳っつーのもそそるな。」


月詠の耳をツンツンつつくと、月詠がきっと睨みつける。

だが、その美しい顔の上に可愛らしい猫耳がぴんと立っていては、どんなに睨み付けても迫力など無いに等しい。


「前回猫耳プレイするっつってしてねぇし。」

「にゃん!!!」


ゴツン、と頭を叩かれる。痛ぇ、と唸りつつも銀時は月詠の尻をそっと触った。


「さっき尻尾も・・つってたけど、マジ生えてんの?」

「・・・にゃ。」

「見せて。」

「んにゃ!!!!」


ぐさり、と額にクナイを叩きこまれ、銀時は床に倒れ伏した。


「ふにゃん!」


パンパン、と手を払うと月詠が立ち上がる。

洒落のわからねぇ奴・・・床に座り込み、銀時がブツブツ愚痴った。







「ま、冗談はこのくらいにして、とりあえず一日此処にこもって・・・。」


ニャゴゴゴ。

その時、外からと猫の鳴き声がした。

グググ、ニャゴゴ、とそれに応えるように何匹かの鳴き声がする。


「春のせいか最近猫がやけにうるせぇなぁ・・??って月詠???」


窓の外から目を移すと、月詠は外をじっと見たまま黙って立ちすくんでいる。


「おい??」


不審に思った銀時は立ち上がると、その顔をのぞき込む。

月詠は放心したような、蕩けるような顔をしていた。

それは普段の彼女では滅多に見られない表情。

これも猫の霊のせいだろうか。害が無いとか言われたらしいが、なんかヤバい事になったのではないだろうか。慌てて銀時は月詠の肩をゆすった。


「オイ、大丈夫か?」

「にゃ・・・?」


月詠がのろのろと銀時の方を向いた。その目が、赤く潤んでいる。



この顔は知っている。だが、どんな時にする顔だっけ?。

戸惑う銀時を、月詠が上目づかいで睨む。

しかしその睨みはいつものクールなそれでは無く、何処か甘えを含んだもので。


「・・・月詠、ちゃん?」

「にゃん。」


月詠が、くい、と銀時の着物の裾を引いた。


おかしい。なんかおかしい。

銀時が思った時、再び外でニャゴゴゴ。と猫の鳴き声がした。




その時、閃いた。猫の声が響く窓の外を向く。

今は春。猫の鳴き声がうるさいのは・・・・・・・・





発情期のせい。





窓の外をにらむと、銀時は月詠の顔をもう一度見た。

目の前には、蕩けるような表情の月詠。

そう、この顔を自分は知っている。

なぜなら・・・。




目茶目茶に愛して、焦らして焦らして、散々可愛がって、クールな仮面を剥がして、ようやく見られる顔。




そう、月詠の欲情した顔。





「オイ・・マジ、で?」

「・・にゃん。」


赤くなって、月詠が顔を背けた。自分が欲情した事に思わず恥ずかしくなった、と言わんばかりのその姿に、銀時も頭がパーンと弾ける。

ぐい、と細い腰に腕を回し引き寄せる。

尻を撫でながら、その耳にそっと息をふきかけた。


「してぇの?」

「・・・にゃん。」


れに応えるように月詠が腰を回す。





オイオイ、こんなのアリか?こんな真昼間に、月詠が、こんな大胆にあけすけに俺求めて来るなんて。

基本積極的な女は苦手な銀さんだけど、今回のはちょっと訳が違う。こんな状況滅多にねぇ。ありえねぇ。奇跡だ奇跡に違いない。

もう俺、明日から猫に優しくする。魚の骨は取っといて野良猫にやる。ゴミ袋漁っても広い心で許してやる。ありがとうよ、猫様。




心の中で礼を言うと、銀時はすかさず行動に移した。

ちょっと待ってろ、と声をかけると玄関へ走り、入念に施錠をする。事務所と廊下の間の扉もきっちり閉めると、机の上にある電話線を引っこ抜いた。


「これで、邪魔は入らねぇ。・・さて、何処でする?布団引くか?それとも・・・。」


月詠がクイクイ、と銀時の袖を引いた。それに従うと、どさり、とソファの上に座らされる。


「にゃん・・・。」


赤い顔して睨みながら、月詠が膝の上にまたがった。

銀時の頬に手を添え、そっと唇を寄せる。

ぺろり、と赤い舌が銀時の唇を舐め、細い指がベルトに伸びた。


「なぁ・・・。」

「にゃん?」

「後でちゃんと尻尾見せてね。」


その返事の代わりに、月詠は口付けで答えた。
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