長編1
□きみがペット?1章
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ふらふらする視界のまま、公園の中を歩く。
体がポカポカして、ふわふわしてなんだか気持が良くなってきた。
『何じゃ・・・わっちも酒が飲めるではないか』
まだ大半が残ったままのビール缶をベンチに置いたまま、月詠は歩き出した。
「何がマダオじゃボケーーー!!!!」
空に向かって大声で叫ぶ。
「・・・うるせぇよ、姉ちゃん。」
声がしたのは、後ろの茂みからだった。
「あん?誰だ!?アタシに文句つけんのは!!」
茂みの裏を月詠が覗くと、そこには大きな段ボールが置いてあり、その中には・・・
「・・ぬしは、何しておる?」
「寝てた。姉ちゃんがうるさいから、目が覚めたんだよ。」
段ボールの中には、青年が一人、丸まっている。
「ぬしは、何で此処で寝ておる?」
「家がねぇから。」
「・・・何でじゃ?」
「うるせぇ。何でも良いだろうが。酔っ払いはさっさと帰って寝ろ。」
「んぁ?お前、アタシに指図すんのか?良い度胸じゃねぇか!」
「・・オイオイ、今度は絡み酒かよ、勘弁しろよ。」
やれやれ、という感じで、青年が新聞に丸まった。
「もう良いよ、俺は寝るから。」