長編1
□きみがペット?1章
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P7〜 【2】 坂田銀時。宜しくな
***
「・・・で、お前が俺をペットにするって約束した訳。」
「・・・」
目の前に掲げられた、『私はギンをペットとして飼う事を誓います』と書かれた証書を、まじまじと月詠は見た。
どこをどう見ても、自分の字である。
「覚えてないかと思って、一筆書いてもらって正解だったぜ。」
昨日凄い酔っ払い振りだったからな〜。いちご牛乳を片手に、ギンと名乗った青年は笑った。
ギン曰く。
昨晩自分は、この青年に「自分のペットになってくれ」と頼んだ・・らしい。
泊まる所はなく、金も底を尽きかけた青年は、「バイトが見つかって、金が入るまで」という事で了承したらしい。
説明を聞きながら、月詠は頭を抱えた。
いくら酔っていたからとは言え、道に落ちていた男を家に連れ込み、ペットにしようなどとは・・・。
男・・・。
ハッと気がついて、思わず身構える。
月詠の気持ちに気づいたのか、ギンはニヤリと笑った。
「あのねぇ、姉ちゃん。俺が狂犬だったら、ノンビリあんたが起きるまで待たないって。
ヤル事やって、有り金持って朝までに家から出てると思うよ。」
・・・確かに。
「すまぬ。」
「まあ、その反応が普通だろうけど。」
ギンはカップを置いた。
椅子から立ちあがったので、反射的に月詠も身構えた。
やれやれ、とギンがため息をつく。
「あんたは運が良いって。こんなお行儀の良い猫なんて、そうそういないぜ。」
言うと、空のカップを抱えてキッチンに立った。
「一宿一飯の恩義だ。朝飯でも作るよ。」