長編1

□きみがペット?1章
7ページ/53ページ

P7〜 【2】 坂田銀時。宜しくな


***


「・・・で、お前が俺をペットにするって約束した訳。」

「・・・」

目の前に掲げられた、『私はギンをペットとして飼う事を誓います』と書かれた証書を、まじまじと月詠は見た。

どこをどう見ても、自分の字である。

「覚えてないかと思って、一筆書いてもらって正解だったぜ。」

昨日凄い酔っ払い振りだったからな〜。いちご牛乳を片手に、ギンと名乗った青年は笑った。





ギン曰く。

昨晩自分は、この青年に「自分のペットになってくれ」と頼んだ・・らしい。

泊まる所はなく、金も底を尽きかけた青年は、「バイトが見つかって、金が入るまで」という事で了承したらしい。





説明を聞きながら、月詠は頭を抱えた。

いくら酔っていたからとは言え、道に落ちていた男を家に連れ込み、ペットにしようなどとは・・・。

男・・・。

ハッと気がついて、思わず身構える。

月詠の気持ちに気づいたのか、ギンはニヤリと笑った。

「あのねぇ、姉ちゃん。俺が狂犬だったら、ノンビリあんたが起きるまで待たないって。
ヤル事やって、有り金持って朝までに家から出てると思うよ。」

・・・確かに。

「すまぬ。」

「まあ、その反応が普通だろうけど。」

ギンはカップを置いた。




椅子から立ちあがったので、反射的に月詠も身構えた。

やれやれ、とギンがため息をつく。

「あんたは運が良いって。こんなお行儀の良い猫なんて、そうそういないぜ。」

言うと、空のカップを抱えてキッチンに立った。



「一宿一飯の恩義だ。朝飯でも作るよ。」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ