長編1
□冷たい月
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月詠の行き先が中々分からず、あちこち聞きまわっている内に夕方になった。
空が限られている吉原は、日が沈むのが早い。
街外れの、今は使われていない遊郭の辺りまでたどり着いた時には、既に薄暗くなっていた。
「オイオイ、女の子がこんな時間に1人でぶらついていたら危険ですよ、チクショー」
ある建物の屋根の上に、目当ての人物が座っているのを見つけた銀時は声をかけた。
「何だ、暇人が。出勤前の一時でやんす。
どう過ごそうが、わっちの勝手だ」
「そうは行くか、この前美味い団子おごるって言って、まだおごってもらってねぇぞ。」
「そんな約束、何時した?覚えが無いぞ」
「覚えが無くても、俺はした。
だから降りて来い」
相変わらず訳の分からぬ男だと月詠は呟きながら、華麗なフォームで屋根から飛び降りた。
「団子の約束は覚えが無いが、丁度良い。
わっちの用事に付き合ってくれぬか?」
「??何だ、珍しい・・・・
ま、いいか。団子はその後でな」
そういうと、銀時は月詠の後を着いていった。