長編2
□5(完)
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「テメェら・・この女に指一本でも触れてみろ。ただじゃおかねぇ。」
「さ・・坂田・・殿?」
月詠さんは旦那から目を離そうとしない。
ほんの少しの間、旦那も暴漢達も時間が止まったように動かなかった。
しかし、このままジッとしていても仕方ないと思ったのだろう。
男達が叫びながら旦那に飛び掛った。旦那が男たちをなぎ倒していく。
強いとは聞いてたけど・・本当に旦那は強かった。
僕が手を貸すまでも無いくらい。
おかげで、僕はこちらに飛び掛ってくる暴漢どもを倒すことに専念できた。
どうやらこの分ならいける。
そう思った時、新たな車が停まるのが見えた。
そこから降りてきた男達が持っているのは・・拳銃?
そいつ等は銃を旦那に向って構える。
危ない!そう叫ぼうと思った時。
「銀時!!!後ろじゃ!!!」
月詠さんの声がした。
その声に旦那が振り向く。
発射された弾丸は寸での所で避けられた。
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そこから先は早かった。
すっくと立ち上がった月詠さんは持っていたクナイを後から来た男達に向って放ち。
それが刺さってひるんだ男達を、旦那がなぎ倒し。
気がついたら、皆地面で呻いていた。
周りを見渡して安全を確認すると、旦那が月詠さんの所へ近づいて来た。
「月詠・・お前・・・」
「まったく・・・ぬしはいつも無茶をする。」
無愛想に、クールに、月詠さんは言った。
これは・・・まさか?
旦那のほうへ歩こうとして、しかし、月詠さんの体がふらついた。
その体を旦那が抱きとめる。
「・・・お前・・俺の事、思い出したのか?」
「ぬしみたいな馬鹿者、忘れたくとも忘れられぬ。」
「・・・つったく。口の減らねぇ女。」
月詠さんを抱きしめたまま、彼女の髪に少し顔をうずめて、旦那は言った。
「あんまり心配かけんじゃねぇよ。」
月詠さんは、すまぬな、と言うと少しだけ笑った。