銀月(後)2
□ハロウィンって何のイベント?ぶっちゃけ俺しらねぇ。
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「全く、人助けしてお前に襲われちゃ、立つ瀬ないだろーが。」
「・・すまぬ。」
さすがに月詠も素直に謝るしかなかった。
後片付けは部下に任せ、取り合えず銀時と近くの茶屋で休む事にした。
お詫びに月詠がおごった”ハロウィン限定かぼちゃプリン”を頬張りつつ、銀時がブツブツ愚痴る。
「しかし、何でぬし、そんな格好を・・」
「そりゃーまあ?ハロウィンだし。仮装でもしようかなー、と。
肝試しで使った吸血鬼の衣裳が家にあったし。」
そ知らぬ顔で銀時が答えた。
なる程、言われて見たら、外が黒で中は赤。
吸血鬼といえない事は無い。
すると、銀時が月詠の方を睨んで言った。
「それはともかく・・お前の格好、それはなんだ!?」
「こ・・これは・・・。」
思わず忘れていた。
”これ”の事。
「何でそんな格好してるのに、俺を呼ばん!!!!」
「こんな格好だから、呼べんのじゃろうが!」
「こんな格好だから、呼ぶべきだろうが!」
そう、今日の月詠は・・・
頭には猫耳の飾り。
衣裳は黒のワンピース。しかも膝上15cm。
可愛い「黒猫ちゃん」の衣裳である。
「日輪が・・町中ハロウィン気分だから、わっちも・・参加しろ・・と。
これも吉原の為だ・・と。」
そう、今日は吉原は街中がハロウィン。
遊女たちも、ハロウィン仮装していたり、小物を身につけていたり。
そこで、百華達も”ハロウィン仮装”が今日は義務付けられていた。
ならカボチャの仮面でも被っておくか、と月詠は言ったのに、日輪と部下たちが「この衣裳で!」と黒猫ちゃんを無理やり着せたのである。
「日輪も日輪だ・・こんな楽しい事、俺に黙ってるとは・・・」
「いや、それは・・・」
日輪は、「可愛いわぁ〜!銀さんにも見せてあげないと♪」と言っていたのだが、それだけは止めてくれ、と月詠が懇願したのである。
「こんな格好、恥ずかしくて見せられんわ。」
「何でだ・・・。」
「これはどう見ても、わっちには似合わぬだろうが。」
「いや、そんな事ないぞ。」
今日は衣裳に合わせて髪もおろしているので、いつものクールな感じから、少し”可愛い”雰囲気になっている。
そこへ持って、猫耳にミニスカ。
これで萌えない訳が無い。
ぶっちゃけ、猫耳萌えなど理解できないと思っていた銀時だが・・これは、中々良い。
寺門通の猫耳に狂喜乱舞していた新八の気持ちが、やっと理解できた気がする。
「そ、そんなに見るな!!!」
マジマジと銀時が見つめるので、月詠も恥ずかしくなって赤くなる。
「いや・・いい、これは、良い。しかも夢にまで見たミニスカ姿・・・」
「下履きは履いておるわ。そうでないと仕事など出来ないだろうが。」
「・・チッ。」
「何だ。その舌打ちは。」
「・・ま、他の奴等に中見られても嫌だしなぁ・・この位は妥協すっか。」
「だから真面目な顔でそんな事言うなっ!」
「日輪・・さすがにナイスセレクト。」
「だーかーら!!」
もういい加減、仕事に戻ろう。
「銀時、それじゃわっちは仕事に戻る。」
「・・・あの・・頭・・・。」
そこへ・・部下の1人が遠慮がちに声をかけた。
「な、何じゃ。」
先ほどの会話を聞かれてたのか?思わず月詠が狼狽する。
「日輪様から伝言で・・『今日は大きな事件ないから、今からフレックスタイムでお休み取りなさい♪』だそうです。」
「だ・・・誰だ!!銀時が来た事、日輪に連絡したのは?」
じゃなきゃ、いきなり休みなど言い出すはずが無い。
明らかに動揺している月詠を前に、部下は笑いをこらえつつ、言った。
「何かありましたら連絡しますので、頭は明日までお休み下さい。」
月詠が答える間も無く、部下はそのまま町へ消えて行った。
「こ・・こら、わっちは仕事が・・・」
言いかけた月詠を、いきなり銀時が抱き上げた。
「な、なんじゃ!銀時!!」
「ナーイスアシスト、日輪。」
ニヤリと銀時が笑った。
「いや、やっぱり吉原に来たからには、商売に貢献しないとねぇ・・・」
更にニヤニヤ笑う。
「こ・・貢献って・・?」
思わず月詠が尋ねる。
「さて・・今日は何処の宿に泊まろうか♪」
「こら!銀時!!何言うておる!!わっちは仕事が・・・」
「銀様♪今日は何処もサービスデーでお安くなっていますよ♪」
茶屋の主人が笑顔で言った。
「おお、これはナイスタイミング。じゃ、月詠、吉原の商売繁盛のため、行きますか♪」
「どーこーへーだー!!!」
「大声出すと、目立つぞ。」
そう言われて、思わず月詠も口を閉じる。
それを見ながら、それはそれは嬉しそうに銀時が言った。
「いやーハロウィンって良い日だねぇ。本当♪」
終
◎ネット通販で、黒猫仮装セットを見て・・月詠に着せてみたかった私(←オヤジ発想)ハロウィンにかこつけて着せてみました(^^)
ちなみに題名・・私、ハロウィンの本来の意味を良く知らないので、そのまま題名にしました(笑)