長編2

□かぐや姫 1
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それは、地雷亜との戦いが終わった直後の事だった。

銀時と月詠は、楼閣の最上階から吉原の街を見渡していた。

「・・・戻るか。」

「ああ・・・」

月詠は言葉少なめであった。

あんな事があった後だ。仕方ない。銀時はそう思った。

「じゃ、行くぞ。」

とにかく、日輪達の下へ戻ろう。

そう言って月詠を誘って歩き出した時、疲労と緊張がピークに達していた月詠が、ふらりと体を傾かせた。

銀時が、とっさにその腕を掴む。

しかし、銀時も相当ダメージを受けていたらしい。一緒にバランスを崩した。

銀時は、目の前に見えた欄干を掴んだ。

だが・・・

戦いの最中に何か当たっていたのであろうか、その欄干はあっさりと崩れた。

銀時と月詠の体が更に傾く。

二人の体は、そのまま宙に放り出される形になった。


眼下にあるのは・・・

高い楼閣から見える、吉原の街。

はるか下にある、屋根瓦。



自分が落ちていく感覚。

反転する視界。

おい、この高さから落ちたらやべぇだろ、
どうにかしないと・・・。



銀時の記憶は、そこで途切れた。



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かぐや姫の迷宮

************





次に目を覚ましたのは、何処かの路地。


「あれ?」


銀時は思った。

かなりの高さから落ちたと思ったが・・
体が痛くない。

周りを見渡す。

月詠はおろか、崩れたはずの建物の破片も見つからない。

どういう事だ?上を見上げた。

そこで気付いた。


先ほどまでの火事が・・消えている。

消えている、というのは正確ではない。

火事が起きた形跡が全く見当たらない。

あの炎は、吉原のほぼ全域に行き渡っていた。

炎どころか、煙の臭いすらしない。

一体・・・此処は何処だ?




銀時が呆然として立っていると、

「こら、待てガキ!」

男の叫び声と、助けて、という子供の声がした。
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