長編2

□かぐや姫 1
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路地を曲がると、そこには一人の酔っ払った男と、少女が一人。

「お前、待ちやがれ!!」

男が少女の腕を掴む。

離してと叫ぶ少女に、男が腕を振り上げた。


銀時はとっさに前へ出た。

振り下ろされそうになった腕を掴む。

「おい、事情はしらねぇが、ガキに乱暴するなんて、大人気ねぇぜ。」

「うるせぇ、このガキ、俺を太夫の所連れて行くのイヤだって・・失礼な!」

「何言ってんのさ!姐さまがあんたみたいなの相手にする訳ないでしょ!」

睨む少女に、男が激昂した。

しかし、男の腕を銀時がねじり上げた為、痛みに叫び声を上げる。

「女がらみでガキに当るなんて、男としてどうかねぇ。」

もうこのガキに乱暴すんじゃねぇぞ、次会ったらただじゃおかねぇから。

そう言って手を離すと、男は何やら言いながら立ち去った。




呆然とする少女に、怪我はねぇか、と銀時が言う。

頷く少女に、お前はここの子か?と聞く。

少女は再び頷くと、怯えたように言った。

「そう、あたしは姐さまのお使いに出てたの。

そしたらあいつが・・あいつ、姐さまのストーカーだから。」

「そうか、なら、また来るかもしれねぇな。俺が姐さまとやらの所まで送ろうか?」

銀時が笑って言うと、少女は目を輝かせてお願い!と言った。

「おう、なら行こうか。」

立ち上がった少女に、銀時は聞いた。

「というか、火事はどうなった?」

「え?火事?」

「そうだよ。さっきまで吉原中燃えてたじゃねぇか。」

「何言ってるの?火事なんて起きてないよ。」


???


火事なんて無い?

もしかしてあれから何日も経ったとか?

俺また、記憶喪失にでもなってたとか?



銀時が混乱していると

「茜!」

背後から声がした。
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