長編2
□かぐや姫 1
4ページ/4ページ
女の声に、銀時が振り向く。
少女が、姐さま!と言って、その女に抱きついた。
「良かった。あの男がいたと聞いたゆえ・・心配になって探しに来た。」
「姐さま・・大丈夫だよ。あのお侍様が助けてくれたから。」
女は銀時の方を見ると、
「どなたか存じませぬが、助けてくれて感謝致します。
この娘は茜。
わっちのかむろでありんす。」
「お侍様!この人が私の姐さまだよ。綺麗でしょう。」
「わっちの名は・・・」
銀時は言葉を失っていた。
目の前に立っていたのは。
髪を結い、美しく化粧をして、華やかな着物の花魁姿の女性。
いつもの網タイツやスリット入りの着物とは違うが・・・
金色の髪。
冷たく美しい顔。
「月詠太夫でありんす。」
そう言って、女は微笑む。
何でお前、そんな格好してるの?
聞こうとして、銀時は気付いた。
一目見た時から、服装や髪型以外に、違和感を感じていた。
その訳に。
目の前に立つ月詠の顔には
傷がひとつも無かった。
→続く