長編2
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「日輪が地上に上がったのは・・お前のおかげって事か?」
「日輪は知らぬ。追手を無事に捲けたと思っておるだろう。」
「・・・」
「吉原では子を産む事は許されておらぬ。しかし、日輪は掟を破る覚悟で子を産んだ。
子が見つかりそうになると、命をかけて吉原から逃げた。
わっちは日輪に光を与えてもろうた。
だから・・わっちも、日輪の光を守った。」
「借金を代わりに背負ったって事か?」
「自分が日輪の分も働くゆえ、二人を見逃して欲しい・・と頼んだ。
日輪はそれを知らぬ。
それで良い。
日輪と晴太が幸せならそれで良いのじゃ。」
わっちは二人を守りたい。
そう言う月詠の顔は穏やかだった。
「だがなぁ・・日輪がこの事知ったら、怒ると思うぞ。」
「・・・ぬしの知っておる日輪も・・そういう女か?」
「ああ、そういう奴だ。」
「ぬしは・・違う世界から来たと言ったのう。」
「ああ、多分な。」
「ぬしの知っておる世界のわっちは・・どんな奴じゃ?」
「お前、俺の言う事信じねぇんじゃなかったのか?」
最初の時以来、銀時の言う事はただの妄想だと言って、月詠は取り合わなかった。
「信じてはおらぬ。だが・・少し思ったのじゃ。これ以外の道も、あるのかのう・・・と。」
「変わんねぇよ。」