長編2

□3
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変わらない。

百華としてクナイを持ってはいないが、この月詠も自分のやり方で日輪を守ろうとしている。

誰にも頼る事なく。

自らの意思でもって。

「やり方は違うけどな。お前と一緒だ。クソ真面目で、一人で突っ張って、全部抱え込んじまう。」

「そうか・・」

月詠は、やはり何処へ行っても自分は愚か者だな、と笑った。

「そんな事ねぇよ。」

「?」

「お前は誰よりも真っ直ぐで・・強い奴だよ。」

「銀時。」

そうだ。

戦う事を選んでも。

戦わない事を選んでも。

何処までも真っ直ぐで綺麗な女だ。

「・・・ありがとう、銀時。」

月詠は微笑んだ。

「礼を言われる筋合いはねぇよ。」

「・・・ついでに聞いても良いか?」

「何だ?」

「ぬしは・・・」

言いかけた月詠が頭を押さえた。

「どうした?」

「いや・・・少し、頭が。」

「頭痛がするのか?なら休んでおけ。」

「・・・声がする、のじゃ。」

「声?」

「わっちの名を呼ぶ声が。」

「誰の声だ?」

「分からぬ。だが、最近急に聞こえるようになった。」

・・・わっちも、ぬしと同じように頭がおかしくなったのかの。

笑うと、月詠は部屋を出て行った。
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