長編2
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「あいつ・・姐さまのストーカーの奴・・あたしを地上に出してくれるって言ったの。
でも、姐さまが見張ってるからこのままじゃ見つかるって。だから、姐さまに眠り薬飲ませて、寝ている隙に逃げだそうって。
でも・・姐さまが眠った事をあいつに伝えたら・・あいつ、いきなり中に押し入ってって。そしたらすぐに火が上がって・・。
銀さん、どうしよう。あたしのせいで姐さまが・・」
「・・・」
銀時は燃え上がる炎を見た。
「俺が・・月詠を助ける。だからお前は此処で待ってろ。」
「でも・・あんなに火が。」
銀時は腰をかがめると、茜と視線を合わせた。
涙を浮かべた少女に向って、優しく笑いかける。
「行ってみねぇと分からねぇだろ?
だからな。月詠が帰ってきたら、ちゃんと謝れ。あいつは、あいつなりにお前の為に戦ってるんだからよ。」
「銀さん・・」
茜の肩をポンと叩くと、銀時は家の方へ振り向いた。
近くにいた火消しから水の入ったバケツを取り上げると、頭から水をかぶる。
何すんだアンタ?
周りの声を振り切ると、家の前まで進み出た。
「火事と喧嘩は江戸の花ですよ、コンチクショーー!」
叫ぶと、炎渦巻く家の中へ飛び込んだ。