長編2
□5
4ページ/5ページ
何故だろう。この前会ったばかりの男なのに。
何故だろう。あの男に助けを求めてしまう。
俺に縋りやがれ。
そんな言葉、あの男から聞いた覚えはないのに。
はっきりと心に浮かんだ。
「銀時…!」
もう一度、はっきりと名を呼ぶ。
自分は此処だ。
「他の男の名前、呼ぶんじゃねぇ!」
ストーカーの男の顔が怒りに染まる。
懐から刀を取り出すと月詠に向けた。
一瞬月詠は息を飲む。
しかし、キッと男を睨むと言った。
「殺すなら殺すが良い。だが・・・」
心は、ぬしには渡せぬ。
自分の心は・・・。
男が刀を構えて向かってきた。
月詠が思わず身を守ろうとした、その時だった。
自分の横を、何かが通り過ぎた。
そして、その人物の背が目の前に立ちはだかる。
明るい銀の髪。
「ぎんとき・・・」