長編2

□7(完)
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「・・で、お前も覚えてないの?」

退院の日。

疲労と衰弱が激しい為、未だ退院できない月詠を、銀時は訪ねた。

月詠も銀時と同じ時に目覚めたのだが、やはり夢の記憶が無いらしい。

「・・・分からぬ。起きた時は何か覚えていたと思うのだが・・」

「俺と一緒かよ。・・・ったく、わからねぇと逆に気になるな。」

「そうだな。」

だが、悪い夢ではなかったのだろう。
二人して捕まるくらいなのだから。

月詠は笑った。

その笑顔が少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。



俺が・・・



何か月詠に言いたい事があったんだけど。

そう思ったのだが、それ以上、言葉が出てこなかった。


********


月詠が退院してしばらくしてから、新八・神楽と吉原を訪れた。

月詠の怪我はどうやら大丈夫のようだが、精神面のダメージが酷いらしい。

新八と神楽が励ましに行くと騒いでいるので、一人逃げようとしたのだが、日輪のゴリ押しで結局一緒に行く羽目になった。



やれやれ、と思っていると、足元に猫が一匹やってきた。

「この猫、野良なんだけど最近此処に住みついてね。
月詠が時々ご飯あげてたら、なついちゃったの。」

勝手に茜って名前付けてるの、と日輪は言った。



茜と呼ばれた猫が、銀時の足元へ寄って来て顔をこすりつけた。

「あら、茜が自分から人になつくなんて。」

珍しいわね。結構人見知りなのに。

日輪が小首を傾げた。
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