長編2

□7(完)
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夜空に浮かぶ月を見ながら、月詠が俺に聞いた。

「傷が無かったら・・別の道を歩んでいたかのう・・・」

月詠の問いに俺は答えた。

変わらないだろう、と。

どんな道を辿ろうとも、コイツの魂は変わらないだろう。

何故だか分からないけれど。

俺は、それを知っている。




それでも辛い時は、俺が護るから。

傍にいて、俺が護るから。

迷った時は、何処へでも迎えに行くから。

だから、泣くな。





言いたい言葉はいくつもあったのだが、迷った挙句、俺は結局こう言った。

「てめーのツラは醜くなんかねェよ」

はっきりと言える。

何時だって、お前の瞳は真っ直ぐに俺を貫く。

その瞳に・・俺は焦がれて止まない。

「傷一つねェ魂持った キレーな顔だ。」

そう言うと、月詠はこちらを振り向いて言った。




「銀時・・お前たちに会えて、良かった。」




此処から月詠の顔ははっきりと見えないが。

穏やかな声。

その顔が微笑んでいる事を、俺は願う。




月詠が部屋を出て行った後。

まだ酒の匂いの残る部屋で、俺はボンヤリ考えていた。

新八と神楽は何やら呟いていたが、そのまま再び寝たらしい。

二人の寝息を聞いていると、こちらも眠気に襲われた。


”お前達に会えて良かった”

・・あの時は”達”ってのは無かったんだけどな。

まあ、しょうがねぇか。コッチの話だから。

・・・あれ?”あの時”っていつの事だっけ?



そう考えようとしたのだが・・・。

強い眠気に襲われて、俺は再び目を閉じた。




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