長編2
□7(完)
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それは、銀時がまだ眠りについていた頃。
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病室へ見舞いに来た新八は、相変わらず意識のない銀時の顔をのぞいた。
「銀さん・・」
大怪我をしたまま地雷亜との戦いへ向かい、その帰りにまたこんな事になってしまった。
無茶ばかりする、自分の雇い主の顔をしみじみ見る。
顔色は悪くないが、このままこの状態が続くと正直宜しくない、と医者は言っていた。
源外が夢の中へ入るからくりを作っているが、それで無事助けられるのだろうか。
夢の中など見る事も出来ない自分が、もどかしくて仕方ない。
「銀さん・・早く帰ってきてください。」
すると、銀時の口がかすかに動いた。
「・・大丈夫・・だから・・俺が・・・から。」
その言葉だけなんとか聞き取れた。
「銀さん?銀さん?」
呼びかけたが、もう声が聞こえる事も無く。
「・・・全く。」
どうやら銀時は、夢の中ででも誰かを助けているらしい。
・・銀さんらしいや。
新八は呆れつつも、何か安心した。
かあどきゃぷたーの女の子は、何故二人揃って夢魔に取りつかれたのか不思議がっていたけれど、何となく新八には理由が想像できた。
多分、銀さんは月詠さんを助けに行ったのだと思う。
夢の中に囚われそうになった月詠さんを迎えに行ったのだと思う。
何故だか分からないけれど・・そう思う。
だから。
きっと、帰ってくる。
銀さんは、帰ってくる。
月詠さんを連れて、帰ってくる。
「新八!夢魔の居場所分かったアル!今からとっ捕まえに行くアル!!」
部屋に飛び込んだ神楽にうん、と頷くと新八は木刀を手に取った。
僕も出来る事を一生懸命頑張りますから・・・
「銀さんも、頑張ってくださいね。」
そう言って、病室を後にした。
◎次ページ、あとがきです。