銀月(後)2

□寒い冬には、ラブとバブ
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「う・・るさい・・ゲホッゲホッ。ちょっと・・むせただけじゃ。」

咳をしながら、月詠が答える。

「・・・ったく、素直に礼もいえねぇのかね。この女は。」

言いながら、銀時は下に落ちた瓶を拾った。

「第一、この薬は鼻水専用だぜ。おめぇの風邪にはきかねぇよ。」

銀時が持っているのは、黄色の瓶。

アッと月詠は声をあげ、服を探る。

ポケットに入れていた瓶が、先程のいざこざで落ちたらしい。

「ちゃんと、用法・容量をご確認下さいって書いてあるだろうが。」

「・・・ぬし・・のじゃ。」

横を向いて月詠が言った。

「へ?」

「家に・・鼻用の薬があったから、わっちが以前飲んだ時に良く利いたゆえ・・・持って行こうかと。」

「・・・」

「さっさと飲め。」

少し赤くなって言う月詠。

すると銀時が袋を差し出した。

「たまたま・・だぞ。たまたま。家にこれがあったから。お前の分だ。」

月詠が袋を開けると、青い瓶。

「咳風邪専用・・だって書いてあったから、な。」

「これは、わっちの分か?」

「家にあったから持ってきてやっただけだぞ。」

「その割に・・今日のレシートも入っておるが?」

「え?あ、しまった。」

慌てる銀時に、クスリと月詠が笑う。



「とりあえず・・家に戻って、薬を飲むか。」

「そうだな。」



銀時も笑った。


********


「・・・やっぱり、ラブラブじゃない・・」

二人そろって風邪薬を飲む姿を眺めると、やれやれ、と日輪は息を吐いた。







◎9万キリリク「喧嘩してもお互いの事を思ってる二人」でございました。ちなみに題名のバブは入浴剤のバブ。
寒い時は良くお世話になっております(笑)
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