長編2
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とりあえず、話はこうだった。
猫耳が生える前日。
月詠は、万事屋に用事があり、地上へ出ていた。
その帰り道も、普段通り。
夜は百華の仕事で見回り。
大きな事件は、無し。
で、真夜中帰って、朝目覚めたら・・・猫耳が生えていた。
こうらしい。
「これだけですか?他に変わった事は??」
「・・・」
月詠が、黙った。
その様子に、銀時がおや、と気づく。
「お前、何か隠してるだろ?」
「・・・え・・・それが・・・な。」
「ちゃんと言わねぇと、原因も何もわからねぇだろうが。」
「・・・寺に、行った。」
「寺?」
「ぬしが・・その、猫になった、という寺。」
「何で??」
銀時が呪い(?)で猫の姿に変わっていた事は、簡単にだが月詠にも話してはいる。
寝ぼけた事を、とその場では笑われた為、信じていないのか、と喧嘩になった覚えがあったが、まさか、それを信じていたのだろうか?
「いや、あの時は信じておらなんだが、ぬしはそんなくだらぬ嘘はつかぬだろうし、と思って・・で、ぬしが猫になったというのはどうゆう状況だったのかな・・・と思って。」
「何だよ、それは。」
「・・・すまぬ。」
一度は笑い飛ばした為か、やけにバツが悪そうに月詠が言う。
ま、いいけど、と銀時は手を振った。
「で・・・立ちションしたのか?」
「・・・!!する訳なかろう!!!!色々見回っただけじゃ!!!というか、ぬしは黙っておれ!!!」
月詠に再び蹴飛ばされた銀時は、シャレの通じねぇ奴・・とぼやきながら、ソファから自分の机へと移動して、椅子に座った。
それを見た新八がすいません、と軽く謝り、とりあえず話しを進めましょう、と切り出した。
「そこで、何か変わった事はありませんでしたか?」
「別に猫が沢山おっただけで・・・あ、そう言えば。」
「何アルか??」
「一匹だけ、変わった猫がおった。真っ白で大きくて赤い目をした猫じゃったのだが・・・全く逃げないのじゃ。」
「逃げない?」
「ああ、野良猫というのは、こちらをじっと見る割に近づくと逃げるであろう?そ奴はわっちが近づいても、背を撫でても逃げんかった。
捨てられたばかりの飼い猫だとその時は思ったのじゃが・・・今思えば、何か違う、ような。
上手く、言えぬのじゃが・・・」
「よく分からないネ。」
「すまぬ、この位で・・・」
「仕方ないですよ。・・・で、銀さん、どうします?これから。」
その言葉に自分の方を振り向いた3人の視線に、のんびり鼻をほじっていた銀時は慌てて手を隠したが、注がれる冷たい目線に思わず視線をそらす。
そして、少し考えた後に、言った。
「とりあえず、その寺に、行ってみるか。」