長編2

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銀時達が寺につくと、庭にいた猫達が一斉に散らばって行った。

「どうだ?その猫はいたか?」

「・・・いや、それらしい猫はおらぬ。」

猫耳を隠す為に大きな帽子をかぶった月詠が、周りを見回して首を振る。




「月詠さん、その時の行動、思い出せますか?」

「ああ・・」

月詠は庭を横切ると、寺の境内をぐるりと回り、裏へ行った。

「・・・此処に白ネコがおった。」

月詠は寺の裏側の茂みを指したが、そこには猫一匹姿は、無い。

やれやれ、という顔をして神楽が言った。

「猫なんて一箇所に大人しくしてるモンじゃからな。」

「第一、その猫が本当に関係するかも分かりませんしね。」

「皆、すまぬ。」

申し訳なさそうにする月詠を、新八と神楽がまあまあ、と慰める。

慰められながらも一生懸命記憶を辿っていた月詠が、そう言えば、と呟いた。

「その猫を触っておったら、他の猫が来てな。その声を聞いた途端、白猫が逃げていった。」

「他の猫?」

「ああ、白猫と同じくらい大きくて、耳の無い猫じゃ。白猫を追って行ったのじゃが・・・」

「まさか、その猫って・・・」

銀時が言った時。





ニャーオ。




低い猫の鳴き声がしたのは、その時。

皆が振り向くと、そこから顔を出したのは耳の無い、大きな猫。



「ホウイチ・・・?」



ホウイチは、銀時の傍までゆっくり歩いてくると、ニャオ、と短く鳴いた。

「お前・・・」

銀時がかがんでホウイチと目線を合わせると、ホウイチはくるりと後ろを向き、茂みの方へ歩き出した。

そして、少し歩くとこちらを振り向いてニャオ、ともう一度泣く。

「付いて来いって事か?」

その問いにニャウ、と答えてホウイチは歩き出した。

「とりあえず、付いて行ってみるか。」

そう言うと、銀時達は茂みの中へ入って行った。
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