長編2

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話を終えると、七雲はずずず、と茶をすすった。



「勿論、呪いが本当かどうかは分かりませんけどね。けれど娘と青年の事件は、実際にあった事なのかも知れません。」

「じゃ、猫ってのは例え話なんですね。」

「さあ・・・どうでしょうか。例え話にも意味がある事は多いですから。」



神楽がう〜ん、と腕を組む。

「しかし、酷い話アルな。恩人を裏切って殺すなんて。」

「まあ・・酷い話ですが、珍しい話でもないですよ。哀しいですが、この国でも以前は良くあったのでしょうし、今でも・・・どこかで起きているかも、しれませんしね。」

「・・・・」

黙ってしまった新八と神楽に、七雲は暗い話ですいません、と謝った。

「良いんです。気にしないで下さい。僕達が勝手に伺ったんですから。」

「そうアル。謝るくらいなら、呪いを解く方法教えるアルね。」

「ちょ!ちょっと神楽ちゃん!!失礼な事言わないの!!!」

「呪いって・・・何ですか?」

「実は・・・お話を伺ったのには、訳があるんです。」

そこで新八は初めて、月詠の猫耳の事を話した。



話を聞いた七雲もまた、考え込んだ。

「昔話の白猫と、その女性の猫耳・・・。そして、化け猫復活の年・・・ですか。」

「勿論、それとこれは全然関係ないかもしれませんけど、あまりにタイミングが良いので。」

「でも、昔話が猫の話じゃないなら、ツッキーは関係ないアル。」

「そうとは言えません。」

七雲の強い口調に、新八と神楽が口を閉じた。

「人の強い想いは、時として肉体を超えると言います。

娘を探す為に、青年が猫としてこの世を彷徨っていたのなら・・・」

「い・・いたのなら?」

ゴクリ、と新八は息を飲んだ。




「化け猫に魅入られた女性・・・。もしかしたら・・・その女性が、青年の探す『娘の魂』なのかも知れませんね。」




「だとしたら・・・!」

「ツッキーはどうなるアル・・・??」



「青年の魂が・・・連れ戻しに来るかも、しれません。」



七雲の言葉に、新八と神楽が固まった。
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