長編2
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扉を蹴破って入った銀時は、そのまま桂に飛び掛り、その顔を思い切り殴った。
「オラオラオラ、ヅラの体なら遠慮も何もねぇ!!!ボコボコにしてやるぜぃぃぃ!!!」
吹き飛んで倒れた桂を見て、ハッハッハ、と銀時が高笑いする。
「オウ、月詠。大丈夫か?」
月詠の方を振り向いた銀時は、そこにいるはずの月詠の姿が無い事に気づいた。
否、月詠の着物は、そこにある。
しかし、その中にあるはずの体が・・・
「・・・月詠ちゃ・・・ん?」
「ニャオ」
月詠の着物の中から、一匹の猫が現れた。
その金色の毛並みはまるで・・・・
「銀さん!!!!」
「ツッキー、あいつに触れたら、猫になっちゃったアル!!!!」
「・・・マジで?」
呆然とする万事屋に向って、起き上がった桂が笑った。
「これで、あの女は、お前の元には戻らん。ククク、今はまだ思い出せぬようだが、俺の手元に来ればきっと、昔に戻れる。
今までずっと待ってたんだ。少し位遅れても、構うまい。」
「テメェ・・・!!!!」
銀時が、桂をにらみつつ、さっと金色の猫の元へ駆け寄る。
「お前、本当に月詠か・・・?」
ニャオ。猫が応える。
「ギン、コイツ、本当にあの姉ちゃんらしい。」
ホウイチが銀時のそばへ来て、通訳をした。
「さあ、もう諦めろ。」
桂が手を伸ばした。
銀時は金の猫を抱きかかえると、その体を神楽に渡した。
「新八、神楽、コイツ連れて吉原へ走れ。そしたら日輪に行って、天井と出入口封じろ。そしたら猫一匹、そう簡単には入れねぇ。」
「でも銀さん!!」
神楽の腕の中で、猫がニャオニャオ、と鳴いて暴れまわった。
「姉ちゃんが、『バカな事言うな』、だとさ。」
「構うな。いいかお前等、月詠を野郎に渡しちまったらお終いだ。とにかく今は、月詠を護れ。いいな。」
真剣な表情に、新八と神楽が頷く。
「ツッキー、ごめん、今は我慢アル。」
「銀さん、気をつけて!!」
言うと、二人は部屋を飛び出した。