長編2
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「銀時、あの猫は・・・ただの化け猫ではない、元は人間の魂だ。」
「何だと?」
どういうこった?と銀時が桂を抱き起こした。
「あいつが俺の記憶を読み取った時、あいつの記憶の一部も俺に流れ込んだ。
どうやらあいつは昔人間で、死んだ後、魂がさ迷っていた所、猫の体に憑依したらしい。
だが、あいつには時間が無いのだ。
詳しくは分からないが、あいつは昔の恋人の魂を探しているらしい。しかし『約束の時』を過ぎたら、あいつの魂は悪意に飲み込まれ、本物の妖(あやかし)となってしまう。
だからあいつは焦っているのだ。
恋人の魂を早く見つけないと、記憶も何も全て失って、ただの闇になってしまう。」
「探してる魂って・・月詠が、か?」
「本当にそうなのかは分からぬが、な。とりあえず、あいつはそう思ってる、らしい。」
真面目な顔で応える桂に、銀時は笑った。
「でもまあ、さっきので退治したんだから、どっちでも良いんだがな。これで終わり、これでハッピーエンド・・・」
「何言っておる。あいつは俺の体から出て行っただけだ。今頃元の猫の体に戻ってるだろう。」
・・・・
「先にそれを言いやがれ、役立たずがぁぁぁぁ!!!!!」
桂を思い切り投げ飛ばすと、銀時は駆け出した。
「お前も災難だったな。」
「ホ・・・ホウイチ・・殿」
血まみれになった桂が、ホウイチに手を伸ばした。
「奴の心は哀しみと憎しみに満ちている・・・このままでは・・・」
桂がバタリと倒れる。
ホウイチが、桂の頭を一撫でした。
「大丈夫だろ、あいつ等なら、な。」
そして、銀時の後を追って駆け出した。