□nico様より15万打記念
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「なぁ万事屋・・・愛ってなんだと思う?」


「・・・・・・」


「・・・俺さぁ、さっき急に『愛ってなんだろう』って疑問に思ってさぁ・・・辞書で調べてみたんだけど。」


「・・・・・・」


「そしたらな、『愛とは、異性を愛しいと思う心。男女間の、相手を慕う情。つまり恋。』って書いてあった。
でもな、こうも書いてあった訳だ。『愛とは、個人的な感情を超越した、相手の幸せを願う深く温かい心。アガペー』」


「・・・・・・」


「・・・やっぱりさぁ、どんなに自分が相手を愛してたって、結局は相手の幸せを一番に考えるってのが本物の愛なんだよ。
だからさ、俺がどんなにお妙さんを愛していても・・・お妙さんがもし違う男を好きになったら・・・その時は俺は、それを温かくみ、見守らな・・・グズッ・・・うう、お妙さん・・・!」



「・・・うるっせェェェ!!いい加減にしろテメェェェ!!」



時刻は夜九時をちょうど過ぎた頃。

銀時は隣でうだうだと『愛』とやらについて語っているゴリラに向かってついにキレた。



銀時がキレるのも無理はなかった。

せっかくその日の鬱憤を晴らそうと入った飲み屋で、まだ猪口一杯しか飲んでないという時に、不運にも既にべろんべろんに酔っぱらった近藤と出くわして。
『よう』とか『久しぶりだな』とかいう挨拶もなしに図々しく隣に座られ、何やら『愛』について哲学的にくどくどと一時間近く語られた挙げ句一人で勝手に泣かれたりしたら、普通は耐えられないものである。



「お前ゴリラのくせに愛についてとか語ってんじゃねーよ!!そんなに愛について知りたきゃ野生に戻ってメスゴリラとイチャイチャして来い!!お前の居場所はソコだ!!」


「ちょっとォォォひどくない!?俺はゴリラに似てるだけで一応人間だよ!!これでも一生懸命生きてるよ!!」


「だったらせめて俺の目の届かないところで生きろ!!つーかテメェ、何俺の分の酒まで勝手に飲んでんだ!?迷惑極まりねぇんだよコノヤロー!!」


「だってさぁぁぁ聞いてくれよ万事屋!!
今日はせっかくお妙さんとデートの約束を取り付けたのに、これでもかってくらいの不幸が重なっちまってさ・・・最終的に俺がホームラン☆されてさ・・・こんなことがあったら飲みたくもなるだろう。・・・やっぱり俺、一生お妙さんと結ばれることは出来な・・・ううぅ・・・お妙さん・・・!!」


「だからウゼーよ!!」



話を聞いたところによると、どうやら近藤は愛しの妙にやっとデートの承諾を得たというのに、結局最終的にボコボコにされて落ち込んでいるらしかった。

普段どんなに殴られても蹴られても全く凹まないポジティブな近藤が、珍しくここまでしょぼくれているということは、今回のことは相当ショックだったんだと銀時にもわかった。可哀想だと思う気持ちもなくはない、が。

しかし今の銀時は、そんな哀れなゴリラを元気づける気分にはなれなかった。何故なら。



今日の銀時は、史上最強に不機嫌だったからである。
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