宝
□秋奈さんより15万打記念
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日輪様の教え。
『男を落とす時は正面ではなく、隣に座れ』
月詠はひのやの店先で銀時の隣に座り、キセルを吹かしていた。
(隣に座ったからと言って、なにが違うんじゃ?)
月詠は内心、首を傾げなからも日輪から教えられた通り、銀時の隣に座っている。
ちなみに銀時の左側に座るようにも指示された。
(なんの目的があるんじゃ?)
月詠はチラリと隣で団子を頬張る銀時を盗み見た。
「なに、銀さんの顔見ちゃって?そんなに男前?」
銀時が月詠の視線に気づいて、からかうように言った。
「なッ、たわけ!そんなわけありんせん!!」
月詠は気づかれていたのを恥ずかしく思って、力一杯否定した。
「オイオイ、そんな否定するこたァねえだろぉ?」
銀時はふざけた調子で言った。
「うるさい、事実じゃ。」
月詠は隣に座る銀時から顔を背けながら足を組み変え、忙しなく鳴り出した心臓を落ち着けようと深呼吸をした。
「ひでぇなオイ。」
銀時は笑いながら二つ目の団子を頬張り、チラリと視線を斜め下に走らせた。
月詠は銀時のそんな様子に気付くことなく、キセルを加えて頬を膨らませた。
「月詠。」
「・・・・なんじゃ?」
銀時に名前を呼ばれ、月詠は振り返って彼を見た。
すると、銀時もこちらを見ていて、二人の視線が自然と絡まる。
ドキッ・・・・
月詠は目が合った瞬間に、胸が高鳴るのを感じた。
二人はしばらく、時間が止まったかのように、互いの目を見つめあった。
「・・・・なんじゃ、銀時?」
月詠は、銀時の目を見つめたまま、ポツリと言った。
目が、離せなかった。
ドキドキと、心臓が早鐘を打つ。
「いや・・・・なんでもねぇ。」
銀時は、月詠の目を見つめたまま呟いた。
「そう、か・・・」
月詠は少し頬を染めて俯いた。
ああ、どうしてこんなにドキドキするんだろうか。
ただ、隣に座っているだけなのに。
終わり
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