銀月(前)

□冷静と情熱の間(前編)
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「銀ちゃん、吉原の様子、見に行きたいアル。」

「そうですよ、火事が収まって以来、僕達行ってないんですから。そろそろ様子見に行った方が良くないですか?」

「うるせー、俺は忙しいんだよ。」

「忙しいって、仕事なんて無いアルよ。」

「そうですよ、どうせ銀さんの用事なんてパチンコくらいでしょう。それ位なら、吉原の人達のお手伝いした方が少しはいいでしょう。」

「・・・お前等だけで行って来い。」

「何言ってるんですか。銀さんが行かないと意味がないでしょう。」

「そうアル。未成年は吉原に行ったら危険アル。新八のお守りは、銀ちゃんの役目アルよ。」

「・・・神楽ちゃん、何、それ。」


新八と神楽の声を無視して、俺はジャンプを読んでいた。というか、読むフリをしていた。

地雷亜との戦いが終わって、1週間ほど経った。
俺も普段通りの生活に戻れるくらいには回復し、万事屋で、いつものダラダラした毎日に戻っている。

そうしたら、今度はガキ共が吉原の様子が気になると言い出しやがった。

確かに吉原の街は気になる。
火事は収まったが、月詠も結構な傷を負ったし、街の復旧にも時間がかかるだろう。


だけど・・・何となく吉原には行きにくかった。その理由は分かってはいるのだが・・。


「という訳で、明日みんなで吉原に行くアル!」

「・・っと待て、何時俺が行くって言った?」

「2対1、多数決で決まりです。民主主義の基本ですね。」

「俺は独立独裁国家だぁぁぁ!」

「じゃ、晴太にお土産持っていくアル。」

「じゃ、僕は帰るから、また明日。」

新八も神楽も、俺の声は無視だ。
オイ、俺は・・・行きたくないんだって・・・。


でも、その理由は・・・言えないので、そのまま俺は黙るしかなかった。
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