銀月(後)2
□それも多分、愛。
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愛しい恋人の頼みと言うものは、全て聞いてあげたい、というのは男の性である。
だがしかし、その全てを聞くというのも、それはそれで男のプライドが泣く、というもので。
しかもその頼みには、裏で糸を引いている人間がいる、という事が分かっていれば尚更である。
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それも多分、愛。
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銀時は、最近思っている事がある。
どうも、日輪と月詠からの頼み事が多い。
日輪の笑顔でのゴリ押しを何とか断っても、隣から「わっちからも頼む」と困った顔で月詠にお願いされると、銀時としてはあまり無下に出来ない。
月詠が頼み事など滅多にしないのだから、どうせ日輪に頼まれた月詠が付き合っているだけなのだろうが、ついつい断りきれないでいる。
しかし、それではいかんだろう。
ここは一つ、ハッキリと断って、二人に(というか日輪に)銀さんはそう簡単に動く男じゃねぇぞ、って所を見せないと。
そう、思っていた。
「銀さん、どうしてもダメ?」
困ったわぁ。
全然困った風に見えない笑顔で、日輪が言った。
月詠も、銀時と日輪に挟まれて、隣で困った顔をしている。
この、人の良い恋人を苦しめる事に銀時は少し心が痛んだが、その気持ちを日輪に利用されている以上、今日は心を鬼にして断ってやる。
そこで、銀時は手をヒラヒラさせながら、敢えて素っ気無く言った。
「ダメだダメだ。俺だって忙しいんだよ。」
しょうがないわねぇ。
そうね、銀さんばっかり頼っちゃいけないわねぇ。
日輪のため息に、今日こそ勝利!と心でガッツポーズを取った。
月詠の方は、後でゆっくり可愛がってご機嫌とるからな・・・そう思っていると。
少し低い声で、月詠が言った。
「そうじゃな・・・」
おや?
銀時が月詠の方を向くと、彼女は顔を下にうつむけている。
どうしたのだろう?銀時が不思議に思うと。
「いかぬな。これでは。
わっちも甘えてばかりで。」
少し哀しげな顔で笑うと、
小さな声で付け足した。
「銀時・・・ぬしが相手だと。」
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「月詠姐、銀さんどうしたの?凄い勢いで走って行ったけど。」
「あ・・・ああ、ちょっと用事を頼んでな。」
月詠は横を向いてキセルを口にした。
でも・・なんか、ツンデレ最高ーー!!って叫んでたよ・・・・晴太の呟きを背に聞きながら、月詠は日輪に囁いた。
「日輪・・これで良いのだろうか?銀時をだましている様に、わっちには思えるのじゃが・・」
「何言ってるの?銀さん、大喜びで飛び出したじゃない♪」
満面の笑みで日輪が言う。
月詠は、すまぬ、これも吉原の為じゃ・・と心の中で銀時に手を合わせた。
終
◎月詠(というか日輪)にもてあそばれる銀さん、第二弾♪