長編2

□3
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そして、3日が過ぎた。

あれから何度吉原から出ようとしても出られない。

電話も無いので、万事屋へ連絡もできない。

しかし何故か腹は減る。

仕方なく、銀時は「雑用係兼、用心棒」という事で月詠宅の居候となっている。

不思議なことに、遊女であるはずの月詠が客をとる姿を、銀時は一度も見ていない。
周りもそれを怪訝に思う風ではない。

茜が「姐さまは吉原でもトップクラスの人気なのよ。」と言っているにも関わらず、だ。

銀時としては、月詠が客を取る姿を見るのは勘弁、なのでそれは好都合なのだが、冷静に考えると普通ではない。

それだけではない。なんとなく、吉原の街全体がぬるま湯のような雰囲気になっている。

鳳仙の支配から逃れたとは言え、欲望の街吉原は、大小問わずもめ事は尽きない。

ゆえに百華である月詠は毎日飛びまわっていたのだが、今銀時が見る限り、そういったギスギスした雰囲気が感じられないのだ。



「やっぱり此処は現実じゃねぇのかなねぇ。」



街へ出て通りをながめながら歩きながら、銀時は呟いた。

こうして見ると、自分の知っている街にそっくりであるのに。

うろうろと街を歩いても此処から出る方法は見つからず。

夕刻になったので、とりあえず銀時は月詠の家まで戻る事にした。

すると、家の前に人が集まって騒いでいる。

・・足抜けしようとしたんだって。

月詠太夫のところの子らしいよ。

茜の事か?

銀時は人を掻き分けると、家の中へ入って行った。
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