ハッピー文

□愛を込めて花束を
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「見合いじゃと?」

「ええ、とっても良いお話よ♪月詠もいい年だし、女の幸せ、考えないと」

眉間に皺を寄せる月詠に対して、満面の笑顔で日輪は答えた。

「・・・日輪、銀時との事、知っておるだろうに、何言っておるのじゃ。」

「知ってるから言ってるんでしょうが。もう4年もダラダラ付き合って、未だに何も進展無いんだから。そろそろ見切りつける頃でしょう。」

笑顔のまま、ピシリと日輪が言う。

ダラダラと・・と言われて、言い返せないのが確かに辛い。

確かに銀時とは男女のお付き合いはしているが、お互い仕事の合間に会い、夜を共にする程度の仲がずっと続いている。

自分としてはそれを不満に思っていないのだが、月詠の保護者を自称する日輪としては、どうやらヤキモキしているらしい。

「・・・わっちは嫁になど行かずとも、吉原を守る仕事がある。日輪が受けてはどうじゃ。」

「何言ってるの。こんな子持ちの年増なんて、もうもらってくれる人いないわよ。」

毎日あちこちの男達から花束が贈られてくるくせに、日輪は笑顔を崩さず言った。

「とにかく、一度目を通して頂戴。顔良し、頭良し、キャリア良し、三拍子揃ってるんだから♪」


無理やり見合い写真を月詠に押し付けると、日輪はサッサと去っていった。

月詠は困った顔のまま、取り合えず見合い写真を開いてみる。


「・・・え???」


その写真を見て固まった月詠を、ふすまの向こうから晴太がのぞいていた。

「大変だ・・銀さんに知らせないと。」
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