ポエム

□悪魔の追憶箱
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まがまがしい漆黒
左右に赤黒い羽が付いた悪魔のkey
追憶の階段を駆け上(あ)がる
途中 見つけた扉は
どれもこれも 悪魔の刻印の部屋
このカギにお似合いだ
でもどうしてか 開(ひら)くことはない
唯一 一致したカギ穴があったのだけど…
いくどにも絡められた がんじがらめの鎖
触れてはならぬような 封印されし箱
パンドラの箱なのか…
それとも宝箱なのか…
善悪が定まらず 迷いが生まれる
開(ひら)くのにはとても勇気が必要
そんな箱に見えてしまうが…
きっと何か特別なものが
入っているに違いない
君は胸を抑え 開くのをためらう

カギを今一度確かめなよ
悪魔の腕に抱かれてるのは ハートの箱だ
そのハートの箱に向け 優しく微笑んでる
見守るように まるで天使みたいだ

箱とカギもちゃんと見比べなよ
繊細なのかも オルゴールみたいにさ…
だからがんじがらめに巻かれてる
ハートの箱とがんじがらめの鎖の箱
似ても似つかないのに なぜだろう
既視感を感じないか?
こう シャボン玉よりも丈夫で…
そう ガラス細工よりも柔な…
いつもすぐ側にあるモノで
うまく言えないけど
そんなモノを常に抱えてるはずだ
だからかな 既視感を感じたのは…

本来なら 悪魔は邪悪な存在だ
なのになぜこうも 大事そうに
ハートの箱なんて抱えているのか
しかも 優しい笑みで…
この悪魔の背後には
「大きな影」が見え隠れしている
そんな気配を感じ取れないか?

このカギでは「悪魔の刻印」の扉は
開(ひら)かなかったはず
だからこそ
本当はキレイな天使の姿をしてたはずなんだよ
【じゃあなぜ 悪魔になっちゃったんだよ!】
それは…

元は天使だったこの悪魔は
この箱だけを護り続けてたんだ
一度たりとも見捨てたことなどなかった
傷つけちゃいけない
「大事なモノ」が入っていたからだ
この箱を奪い 傷つけようとする敵がたくさん現れた
そのたびにこの元天使は抗い続けてきたんだ
そのせいで堕天してしまって
変わり果てた姿になってしまったのさ…
これでわかっただろう?
「大きな影」の理由…
そうまでして護り抜きたかったんだよ

カギと箱はきちんと一致しただろ
ハートの箱を抱えた
変わり果てた姿になってしまった
悪魔のカギだからこそ
その箱を開けることができるんだよ
君に「取り戻してほしいモノ」があるからだ

この悪魔はどんな天使よりも
ずっと天使らしくキレイなままじゃないか
その箱はパンドラなんかじゃないはずだよ

階段はなぜ 天に近いのか
箱はなぜ がんじがらめなのか
カギはなぜ 悪魔なのか
箱とカギはなぜ 一致するのか
そして君はなぜ 胸を抑える
ためらわずに 箱を開けてよ
その答えにたどり着ければ
すぐに解るはずなんだ
お願いだ 気づいてくれ
この箱の正体
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