ハルヒ

□放課後ボーイズ
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「古泉、今日ゲーセン行こうぜ。」
「いいですね、行きましょう。」

言いながら俺は飛車を動かした。王手だ。また負けですか、と古泉がやんわり微笑むと、タイミングを見計らっていたように長門がパタンとハードカバーを閉じた。将棋盤を片付けてカバンを掴むと、朝比奈さんが早く着替えさせてくれ、とでも言いたげな表情をするので、俺と古泉はそそくさと部室から退散した。
ドアを閉めて壁にもたれていると古泉がふとつぶやく。

「いつになったら勝てるんですかね。」
「知らん。」
むしろ俺が聞きたい。
「だいたいお前、頭はいいんだろ?やりこみ系の格闘ゲームならまだしも、何で将棋やらチェスやらで負けるんだ?」
「さぁ…?さっぱりです。」
「………だよな。」
頭がいいのは否定しないんだな。まぁ事実だが。
出てくるのが遅いハルヒたちに声をかけようと俺がドアの前(もちろん覗く気はない)に立った瞬間――

「帰るわよ!」
「うっ!」

バカ、もとい団長様が勢いよくドアを開いて出てきやがった。このやろう。お陰で顔面を強打した俺は思わず呻き声をあげてしまった。いやまぁ確かにドアの前に立っていた俺が悪いのかも知れないが、

「く、大丈夫…です、か?」
「……古泉。お前笑ってるだろ。」
「いえ、ちっとも。」
「ちょっと、痛いじゃないの、キョン!何もたもたしてんの!早く帰るわよ!」
ぶつかっといて謝罪無しかよ!と心の中でつっこんだが、朝比奈さんが「キョンくんも大丈夫ですか?」と天使のごとく慈悲をかけてくださったので良しとしよう。

ずいぶんとまた上機嫌なハルヒは鼻歌混じりにスキップしながら坂を下っていた。その後ろからちょこちょこと朝比奈さんが着いていた。うん、愛らしいお方だ。長門はというと普段通り影みたいに2人の後を追いかける。


「朝比奈さんは、」
「あ?」

古泉がおもむろに口を開いた。なんだいきなり。

「いえ、特に何かあったわけでは。」
「なんだよ、言い掛けてやめるな。」
朝比奈さんは、で止められたら気になるだろうが。
「それは失礼。」




………………。



「いや、続きは?」
「え?特に。」
「ないのかよ(笑)」

そんな会話をしているうちにどうやら駅に着いたみたいで、朝比奈さんの買い物に付き合うという三人娘と別れて、俺たちはゲーセンに向かった。



中に入るとゲーセンならではの騒々しさに思わず顔をしかめる。360度から聞こえるゲーム音。そういえばこいつとゲーセンに来るのは初めてかもしれない。SOS団にいる以上当然のように仲良くしているが、こうやって2人で遊ぶことはほとんどない。それは古泉がこうやって馬鹿をするようなタイプではないからなのか、超能力者の使命を全うするため、いわばビジネスのような感覚でここにいるからなのか。なんにせよ俺にとって古泉という人間は谷口や国木田とはまた違う場所にいた。

「どれにします?」
「そうだな…この格闘ゲームとかいいんじゃないか?」
「いいですね。」


――まぁいいか。
たまにはハルヒや宇宙人未来人超能力者だなんだは忘れて、こうやって男子高校生らしく馬鹿なこと出来ればさ。

「古泉。」
「なんでしょう?」
「俺たちって何なんだ?」

顔をそらしていたから、奴の表情はわからなかったが、一瞬の間の後、古泉はふっと笑った。

「親友だと思ってますよ。
 …少なくとも僕は、ね。」









(クサいこと聞いちまったなぁ…)








――――――――――――

キョンと古泉だって普通に
ゲーセンで遊んだりすると思うんだ。

普通に仲良し男子高校生な
SOS男子が書きたかったわけです。

間の無駄な文章はただ
古泉に「朝比奈さん」って
言わせたかっただけなのです。
許してください。←


あとがきが長くなってしまったので
このへんで!


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